“自己管理できる男”に惹かれた女性の「恋の始まり」
取材に応じてくれたのは、都内の歯科医院で歯科助手として働く広田直美さん(仮名・26歳)。交際相手のAさんは、外資系コンサルティング会社に勤めている。体脂肪率は5%、地方のマラソン大会にも遠征する本格派のトレーニーだ。「知人の紹介で出会いました。第一印象は、とにかく“自己管理ができている人”。引き締まった体もそうですし、ストイックに努力している姿がかっこよくて……。もともと美容や体づくりには興味があったので、彼の意識の高さに惹かれました」
そんな彼との初デートは、意外な場所から始まる。
「『新しくオープンしたジムがあるから一緒に行かない?』と誘われました。無料体験できるとのことで(笑)。意外な場所だったのでちょっとびっくりしましたね」
食事やカフェではなく“ジム”。戸惑いながらも、彼の世界を知りたいという気持ちから直美さんは同行した。
「想像以上にハードでした。彼は慣れた様子で次々とマシンをこなしていくんですが、私はウォーキングをするだけで精一杯で……。
初デートはまさかのジム、その後に始まった価値観のズレ
問題はトレーニング後に起きた。「このあとはカフェで一息つきたい」と思っていた広田さんだったが、Aさんから思いもよらないことを提案されたという。「終わったあとはカフェでゆっくりするのかなと思いきや、彼に『トレーニング後の食事はタンパク質一択だから。脂質と糖質の吸収が一気に上がるからスイーツなんてありえない』って言われてしまって……」
代わりに案内されたのは、高たんぱく・低脂質メニューを中心にした“トレーニー向け”の店。アルコールや甘いドリンクはなく、プロテインドリンクや鶏むね肉中心のプレートなど、徹底した身体づくり仕様の内容だった。
「気落ちしつつも『こういう世界もあるんだな』と新鮮でした。いえ、無理やりそう思おうとしていただけかもしれません。でも、それが毎回になると、息が詰まるようになってきまして……」
愛情か支配か…筋トレ彼氏のルールに追い詰められた日常
交際が進むにつれ、彼の“ルール”は日常へと入り込んでくる。週末のお泊まりでは、食事はすべて高たんぱく・低脂質メニュー。炭水化物は一回につき玄米100グラムまで。朝は30分のジョギングに付き合うのが当たり前。スイーツを食べようとすれば、「プロテインバーにしなよ」と当然のように言われる。「当時、私の体脂肪率は22%で、特に問題のない範囲でした。でも彼からは『20%を超えるなんて美意識ないよね』と本気で言われて、その時から“評価されている側”なんだと感じるようになってしまいまして……。
そして仕事先の仲間から言われることにも、変化が現れた。同僚に「最近ちょっと痩せすぎじゃない?」と、不健康に見えることを指摘されてしまったという。
「体型だけでなく『肌も乾燥してるし、ほうれい線が目立ってきた』って言われて……。自分では頑張っているつもりだったんですけど、明らかに無理をしていたんだと思います」
彼女ではなく撮影係に…彼の承認欲求で崩れた関係性
「筋肉が目立つランニングシャツとハーフパンツ姿のトレーニング風景や、プロテインを飲む姿まで……。しかも『この角度のほうが上腕筋がきれいに見える』と、細かく指示までされるようになりました」
撮影した動画をチェックしながら、「いいね、これ伸びそう」「またフォロワー増えた」と満足げに笑う彼。その隣で、直美さんはふと我に返ったという。
「私、何してるんだろうって思いました。デートのはずなのに、気づけば専属カメラマンみたい……」
最初は彼のストイックさに惹かれたはずだった。
「努力すること自体は素敵だと思います。でも、彼女である私としては、それと同じレベルで求められると正直しんどいです。一緒にいて癒やされるどころか、常に緊張感が抜けないような感覚ですね」
鍛えるべきは筋肉より対話力…
現在、直美さんは交際を続けるべきか悩んでいるという。健康志向そのものは決して悪いことではない。自己管理ができる男性は多くの女性にとって魅力的に映るだろう。だが、その意識が“指導”や“評価”に変わった瞬間、関係性は一気に歪む。女性が求めているのは、トレーナーでもコーチでもない。一緒にいて心が安らげる、対等なパートナーだ。
そのプロテイン一杯のこだわりが、相手の自由や笑顔を奪っていないか。そのアドバイスは、思いやりではなく“強制”になっていないか——。
Aさんは、筋肉よりもコミュニケーション力を鍛えた方がいいのかもしれない。
文/蒼井凜花
【蒼井凜花】
元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。
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