ハードの値上げに踏み切った任天堂
5月8日にソニーグループと任天堂、日本が誇る二大ゲームハードメーカーの本決算が発表されました。そのなかで、特に衝撃だったのがNintendo Switch 2の値上げ。5月25日以降、日本国内販売価格が4万9980円(税込)から5万9980円(税込)へと改定されます。PS5と異なり、ファミリー層がメインのNintendo Switch 2は「値上げ困難」と見られていましたが、AIデータセンター需要で世界的に争奪戦となっているメモリの高騰が想定以上だったのが伺えます。
ソニーのゲーム事業の決算は?
少々マニアックですが、説明会資料で注目されたのは、2022年に約37億ドル(当時のレートで約5140億円)で買収した実力派老舗スタジオBungieの「無形資産等の減損」。1201億円を計上しました。『Halo』『Destiny』で知られるBungieですが、説明会資料には「Bungieの展開するタイトルポートフォリオ全体の収益が想定に届いていないことを踏まえ、事業計画を下方修正し、Bungieに関連するのれんを除く固定資産全額を減損しました」と言及があり、厳しい状況のようです。ちなみに、こうした一時要因を除くと、「(ゲーム事業は)45%の増益」とのことで、トータルとしてはしっかりした数字だったと言えます。
新ハード発売年度、任天堂の結果は?
ただ、Nintendo Switch 2専用ソフトに関しては、7月発売『ドンキーコング バナンザ』の世界累計販売が452万本、11月発売『カービィのエアライダー』が187万本とぼちぼち。それでも、直近3月発売の『ぽこ あ ポケモン』が発売5週間で全世界累計400万本以上を売り上げ、ロングセラーコースにも乗りそう。決算説明資料には「ハードウェアの販売に貢献」と言及されています。また、決算の集計期間外で初代Switch向けのタイトルではありますが、先月発売の『トモダチコレクション わくわく生活』も発売2週間で全世界380万本以上と出足好調です。
ソニーのゲーム事業、今後の見通しは?
それでは、2026年度の見通しを見ていきましょう。ソニーの「ゲーム&ネットワークサービス」は、売上高4兆4200億円(-6%)、営業利益6000億円(+30%)の予想。「次世代プラットフォームに向けた投資の増加を織り込んでおり、これらを除いた足元の事業から創出される利益は着実に2桁の成長を織り込む」とのこと。次世代プラットフォームの開発は進んでいるようですが、メモリを筆頭に部材の高騰があり、PS5発売からおよそ5年半が経過し、機は熟しているものの、まとまった数量を揃えて新ハードの発売に踏み切るのは容易ではないでしょう。
2026年は11月19日にPS5やPC向けに『グランド・セフト・オートVI』(テイクツー・インタラクティブ)が発売予定。10億ドル以上の予算規模という噂もあり、ライバルのNintendo Switch 2にはない大人のエンタメ大作としてPS5を牽引しそう。さらに、昨年11月に発売された、ディスクドライブ非搭載のPS5廉価版「デジタル・エディション 日本語専用」は5万5000円(税込)で、値上げ後のNintendo Switch 2と価格の逆転が発生するのもPS5には追い風かもしれません。
任天堂の今後の見通しは?
「これまでの当社ハードウェアでは、発売初年度よりも2年目の販売数量が多くなるケースが一般的」(決算説明資料)でしたが、Nintendo Switch 2はややピンチといったところでしょうか。「メモリを中心とする部材価格の高騰や関税措置等に伴う原価への影響として、約1000億円を織り込んでいます」というコメントからも、ハードの利益率低下が伝わります。
2026年発売の任天堂タイトルは、『スターフォックス64』のリメイク作『Star Fox』(6月25日発売予定)、『スプラトゥーン』初のスピンオフタイトル『スプラトゥーン レイダース』(7月23日発売予定)、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』(2026年発売予定)あたり。ファンとしては、『ゼルダの伝説』『スーパーマリオ』の新作発表が待たれます。
ゲーム以外では、先月公開の映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が好調。「公開4週間で全世界の興行収入が8億ドルを超える、順調なスタートを切りました」(決算説明資料)。前作『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の続編としては成功と言えます。今後、実写映画『ゼルダの伝説』(2027年4月30日公開予定)も控えており、ハード販売が不透明ななか、他の分野でどれだけ任天堂ブランドの価値を高めていけるかが勝負でしょう。
<文/卯月 鮎>
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。
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