「いやー、ちょっとロス(ロサンゼルス五輪出場)が見えちゃった…」。インタビューにドヤ顔で答えた。
競泳の国内大会は、2024年パリ五輪で日本はメダル1個と惨敗し、スターも不在で最近は注目度が低かった。しかし、今大会は久々に華やいだ。テーマは「新世代」。20歳以下の選手が主力となり、特に男子100メートル平泳ぎで日本新記録を出すなど平泳ぎ3冠を獲得した17歳、大橋信の勢いには目を見張った。
ただ、新勢力にストップをかける「先輩」が出てこなければ、面白くない。その1人が田渕だった。昨年までは400メートル個人メドレーがメイン種目だったが、五輪には届かなかった。新たな環境を求めて昨年4月、名コーチ平井伯昌氏が監督を務める東洋大に拠点を移した。
この種目は近年、世界から大きく遅れていたが、優勝タイムの14分45秒57は五輪でも決勝進出が見えてくる。「(今福)和志と一緒にロスに行きたい。世界で戦えるような選手になりたい」と言葉が弾んだ。
もう1人印象に残ったのが29歳の松元克央(ミツウロコ)だ。男子200メートル自由形で好記録を出し、昨年の世界選手権で銅メダルの19歳、村佐達也に次いで2位。自身が日本記録を持つ100メートル自由形では、出場4種目制覇を狙った村佐をかわして優勝し、インタビューで「まあ、当たり前ですね」と言ってのけた。
200メートルの金メダル候補として臨んだ21年東京五輪。重圧と緊張で予選落ちの挫折を味わった。パリ五輪では8位。日本の第一人者としての地位を築いたが、昨年の世界選手権で村佐に200メートルの日本記録を破られた。
ここのところ100メートルと50メートル種目に力を入れてきたが、200メートルを泳ぎたくない理由を自問自答。
日本代表は8月のパンパシフィック選手権、9月のアジア大会へ向かう。若手の成長だけでなく、ベテランの奮起も見たい。
正田裕生(しょうだ・ひろき) 共同通信編集委員。埼玉県出身。総合商社勤務後、1991年に共同通信社入社。水泳、バスケットボール、テニス、IOCなどを取材し、五輪は9大会で現地に。運動部、ロンドン支局などを経て現職。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.18からの転載】
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