日本テレビ系列で2003年から2010年までレギュラー放送されていた人気お笑い番組『エンタの神様』。無名の芸人たちが出演し次々にブレイクするなど、まさに2000年代のお笑いブームをけん引する存在でした。


 今回はそんな『エンタの神様』でブレイクし、ステージで強烈な個性を発揮していた「一発屋・女性芸人」たちの今に注目。お笑いの第一線からはなれた後、そこにはそれぞれの道を切り開く“現役”の姿がありました。

「ポンコツ一家」を描いたエッセイが話題 にしおかすみこ

「グ~!」から18年、エド・はるみの現在に衝撃。大ブレイク後...の画像はこちら >>
 黒いボンテージに身を包み、ムチを振り回す。そんな「女王様」スタイルでお笑い界に登場したにしおかすみこさんは、2007年にブレイク。現在はダウン症の姉、酔っぱらいの父と暮らし、その生活を綴ったエッセイが反響を呼んでいます。

 2020年、久しぶりに戻った実家でにしおかさんが見たのは変わり果てた家族の姿だったそう。一家の大黒柱だった母(2025年ご逝去)が認知症になり性格が一変。家はゴミだらけになっていたといいます。そんな状況を知った彼女は、家族と自分の人生、両立ができるのか迷うも、実家に戻ることを決断します。

 にしおかさんは、愛をこめて「ポンコツ一家」と命名した家族との暮らしをエッセイに。2021年にWebメディア『FRaU』にて連載がスタートし、現在も更新され、2冊の書籍にもなりました。

 強気な女王様の芸風だったころから、ときおり繊細な一面をのぞかせるなど、多面的な魅力があったにしおかさん。テレビ出演などの芸能活動や趣味のマラソンに打ち込むなど自分の人生を送りながら、家族を支える真摯な生き方に多くの人が励まされています。


より良い“人と社会”を模索する研究者に エド・はるみ

 エド・はるみさんの代表的なネタである「グ~!」が新語・流行語大賞を受賞したのは2008年、当時44歳でした。この年に長年の目標であった『24時間テレビ』(日本テレビ系)のマラソンランナーに選ばれ、当時の女性として最長の113kmを完走して話題に。

 現在は筑波大学大学院に在籍し、人や社会をより良く創造することを目的としたデザイン学を専攻する研究者になっています。

 お笑いの道を志す前は20年以上俳優として活動していたエド・はるみさん。40歳でNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、芸人を目指す若者たちと肩を並べてお笑いを学んだといいます。

 ブレイク後は環境が変わったことで苦悩も多く、“人や社会をもっと学びたい”という思いに至り、2016年に慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の修士課程に入学。また、2019年と2021年には『二科展』の絵画部門に入選する一方、コミュニケーションをテーマに考案したゲームが2022年にグッドデザイン賞を受賞しています。

 さまざまな分野に挑戦し続けるその姿勢はまさに、持ちネタである「グ~!」を体現していると言えるでしょう。

自身と他者の“生きづらさ”に独自に向き合う 鳥居みゆき

「グ~!」から18年、エド・はるみの現在に衝撃。大ブレイク後に選んだ“人生”とは。『エンタ』で一世風靡した芸人たちの今
画像:株式会社ワンダーフレンズ社 プレスリリースより
 白いパジャマ姿で「ヒットエンドラ~ン」と言って暴れる独特な芸風でお茶の間にインパクトを与えた鳥居(とりい)みゆきさん。

 自身が抱えてきた“生きづらさ”を「発達障害」と認識しつつ診断は受けないと公言しており、現在は児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーターの資格を取得。他者の生きづらさにも向き合っています。

 学生時代に社会生活がうまくできず、人間関係に悩んだことから、自分の考えを表現する場を求めてお笑いの道に進んだという鳥居さん。芸人としてのブレイクを経て、絵本作家として活動をスタートしたり、俳優としても数々の話題作に出演したりしており、マルチに活躍してきました。

 2022年からは、NHK Eテレで放送されている発達障害の子どもたちのための学習番組『でこぼこポン!』からオファーを受け、メインキャラクター「でこりん」としてレギュラー出演しています。


 この出演を機に、より理解を深めるため前述の資格を取得したそうで、現在は発達障害をテーマにしたインタビューや対談などにも応じており、鳥居さんならではの新しい視点を示してくれています。

高円寺スナックの“雇われママ”としても人気 まちゃまちゃ

 グリーンのモヒカンヘアが特徴のプロレスラー「マジャコング」に扮し、マイクを床に叩き落とすパフォーマンスで毒舌を放っていたまちゃまちゃさん。2005年にブレイクした彼女は現在、芸人を続けながら副業で高円寺のスナックで雇われママをするという二足のわらじを履いています。

 多い時で週に5日お店に立っており、副業の収入は20万円前後になることも。酒癖の悪い客が来店した際には怒鳴って追い返したこともあり、当時の『エンタの神様』視聴者にはなじみの深い“キレっぷり”を発揮するなど、彼女らしさはまだまだ健在のようです。

 今月(5月7日)には芸歴30年と自身の50歳の誕生日を記念して「まちゃまちゃ30周年祭&生誕祭『独身披露宴』」をZepp Shinjukuで開催。なんと生まれた病院も一緒だという、中学校からの“マブダチ”綾小路翔さんのいる「氣志團」をはじめとしたロックな仲間たちが集まり、まちゃまちゃさんの長い芸能活動の節目を祝いました。

 約20年前、テレビ越しに披露していた毒舌&過激なキャラクターは、年月を経てよりクールな現在地へと彼女を導いているようです。

 ――昨今、テレビで姿を見る機会が減ったことから「一発屋」とくくられがちですが、その一発のネタには、彼女たちの人間味あふれる苦悩や個性が裏付けされていたのかもしれません。だからこそインパクトを残し、お茶の間で愛されたのでしょう。

 現在は違う道に進む彼女たちですが、原点はすでにあのステージにあったはず。常識にとらわれず自分の道を突き進む女芸人たちの“現役”の生きざまを知れば、パワーをもらえるのではないでしょうか。


<取材・文/蜜ツ冶(A4studio)>
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