TBS日曜劇場「流星ワゴン」第7話(3月1日放送)では、ついにワゴン運転手・橋本(吉岡秀隆)の息子である健太(高木星来)が成仏のときを迎えるというエピソードが描かれた。

第5話では忠さん(香川照之)の機転のおかげで、健太の母親の居所が判明した。
ところが、勢いこんで会いに行った母親はすでに再婚し、小さな子どもまでいた。健太は打ちひしがれ、その場を逃げ出してしまう。しかし、第6話で主人公・一雄(西島秀俊)の母親である澄江(倍賞美津子)に「憎しみあっても切っても切れないのよ。親子の絆って」と励まされ、健太は再び母親に会いに行く。

「これまでのこと、全部忘れて前に進むってことだぞ。よし、ママに会って、ちゃんとさよならしておいで」と健太に念を押し、ほっとした様子の橋本。しかし、忠さんは引っかかりを感じたようで「健太が成仏したら、その後はどうなるんじゃ。お前はどうなるんじゃ」「正直に言え! 何を隠しとる!!」と、問い詰める。

健太は自分が成仏すれば、父親である橋本も一緒に成仏できるものと思い込んでいる。でも、じつは健太が成仏していなくなってしまうと、“ホンモノの親子になりたい”という橋本の未練が解消される可能性がなくなる。「暗闇のなかをたったひとりで永遠にさまようことになるんじゃろ」と、忠雄は見抜く。忠さん、やはり無神経に見えて人情の機微に敏感なのだ。


「私は構いません。それで健太が成仏できるなら、生まれ変わって新しい未来を生きることができるなら。せめて最後ぐらい父親らしいことをしてやりたいんです」と語る橋本。「こげな親子の別れは最低じゃ。カズ、なんとかせえ!」と涙まじりで訴える忠さん。そして、一雄は「どうすることもできない……」とうなだれるばかり。

原作でも、健太は母親に会いに行き、新しい家族がいることを知る。「ぼくのことをけっしてわすれないでください」と書いた手紙は渡せないままだった。しかし、ドラマ版では母親との再会が描かれた。健太の母親は「一日だって健太のこと忘れたことない。幽霊だってなんだっていいから会いたいってずっと思ってた。やっと会えた」と健太を抱きしめる。


一度は成仏を決意するものの、やっぱりいやだとダダをこね始める健太。道に飛び出し、トラックにひかれそうになったところを橋本がかばう。すでに幽霊になっている自分を必死に助けようとするなんてバカだと悪態をつく健太を橋本が一喝。

「ほっとけるわけないだろう。生きてようと死んでようとおまえが事故に遭うところなんてもう二度と見たくない! 見たくない!!」と叫ぶシーンもドラマオリジナル。原作よりもいくばくか多い、親子のぶつかりあいを経て、健太と橋本は別れの日を迎える(結局、健太は戻ってきてしまうのだが)。

「やっぱりパパと一緒にいたい」という健太を見て、「別れようと思っても別れられんのが親子なんじゃ」と喜ぶ忠さん。橋本親子は一足先にわだかまりがとけた。一雄と忠さん、一雄と広樹の親子関係はどうなるのか。第8話では、いよいよワゴンが“最後の場所”に向かうという。予告動画では一雄が「ごちゃごちゃぬかすとドタマかちわるぞ、こらぁ!」と誰かを怒鳴りつけていた。一雄の忠さん化が着々と進み、親子の雪どけも近いのか。
 
(島影真奈美)
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