妻から離婚届が届いては泣き、息子に暴力をふるわれては泣き、四六時中メソメソグチグチしていた人と同一人物とは思えない吹っ切れ方を披露。何が一雄を変えたのか。印象に残る号泣から落涙まで(´;ω;`)シーンを振り返ってみたい。
●「あのとき別の道を行っていれば……そう気づいたときはもう遅い」(第1話)コンビニでティラミスを買い、家路を急ぐ。ややしょぼくれてはいるものの、どこにでもいるごく普通の父親に見えた一雄。しかし、マンションの自室に一歩踏み入れると部屋は荒れ放題で異様な雰囲気が漂う。「全部あんたのせいだ!」と言いながら、息子はバットを振り回す。飛び散るガラスの破片。
●「これは僕が死ぬ前に受けるべき天罰かなにかなんですか」(第2話)
第2話(1月25日放送)では、忠さんに促されるまま、のちに一雄のリストラを決めた張本人である上司に、取り入ろうとする。しかし、どうもうまくいかない。一方、息子・広樹が捨て犬を飼いたがっていたことを知った一雄は、返事を迷いながらも承諾する。しかし、結局、捨て犬は助からず、一雄は自分の選択がかえって広樹を傷つけたと後悔する。必死にあがいてもうまくいかず、つらい過去を繰り返すことに疲弊する一雄。ワゴンの運転手である橋本に「大丈夫ですか」と声をかけられたのをきっかけに、泣き言のオンパレード。
●「かあさん、お金貸してもらえないかな……」(第4話)
妻・美代子のギャンブルと多額の借金が発覚した第4話(2月8日放送)。借金さえ返せば、美代子は救われると信じ込んだ一雄は、なりふり構わず金策に走る。しかし、電話をかけては断られ……の繰り返しで、メドがつかない。万策つきた一雄が電話したのは故郷の母親(倍賞美津子)。久しぶりにかけた電話が借金のためだとは言いづらく、「おやじの具合どうかと思って」とごまかす一雄に、母親は柔らかな声で「嘘つかなくていいわよ。他に何かあるんでしょ。どうしたの」と切り込む。「……母さん、お金かしてもらえないかな」とやっとの思いで切り出した一雄に、母親はごく普通のトーンで「いいわよ」と即答する。忌み嫌っていた父親と同じように、母親に金の苦労をかけようとしている自分に対する自己嫌悪と、窮地を救ってもらったありがたさがないまぜになる一雄。携帯電話の向こうに何度も頭を下げ、涙を流す。
●「アンタの命はアンタだけのものじゃない!!!」(第6話)
第6話(2月22日放送)では忠さんが、現実世界の自分(忠雄)に会い、病院で検査を受けるよう説得すると言い出す。出会いはずのない二人が出会うと、やり直しの旅がなかったことになる恐れがあると知り、一雄は代わりに忠雄を説得することに。しかし、72歳の忠雄は忠さん以上にガンコで聞く耳を持たない。あまりの強情さに「あんなヤツを救おうとした俺がバカだったよ。どうせ親父はもう長くない」と嘆くと、母親が平手打ちをくらわす。母親に「不幸だなんて思ったこと一度もない」と言われ、一雄は仰天する。さらに、一雄は病院で医師に取りすがり、ノートを見せる母親の姿を見かける。ノートには忠雄の食事内容や体調の変化がびっしり書き込まれていた。母親の父に対する思いを知った一雄は「アンタの命はアンタだけのものじゃない!!!」と忠雄に訴える。「今ならまだ間に合うかもしれない。運命は変えられるってことを証明してくれ。頼む、生きてくれ、親父」と号泣する。
●「あの二人は幸せに別れたんだ」(第7話)
一緒にワゴンの旅をしてきた橋本親子(吉岡秀隆、高木星来)。じつは彼らは幽霊で、交通事故を起こした後悔を抱え、この世をさまよっているという設定。なんとか息子・健太を成仏させたいというのが橋本の願い。忠さんと一雄の尽力により、健太は成仏できることになる。泣きながら健太を見送る橋本。忠さんは「こげな別れ方は好かん!」と腹を立てる。一方、一雄は「しかたないだろう。橋本さんと健太が決めたことだ」とあきらめの境地。それでも否を唱え続ける忠さんに「俺たちの別れはもっとイヤなものになるんだ」と告げる。「お互いに憎しみ会って、でもそれを口にすることもなく、冷たく冷え切ったまま、顔を合わせることもないまま、あんたとは死に別れるんだ」と思い返しているうちに、感情がこみ上げてきて、再び涙ポロポロ。
そして、第8話では忠さん流の対処が功を奏したのか、これまでの旅で最もいい形で変化が現れた。このままワゴンに戻ってこないほうがいいと願う忠さん。しかし、一雄は戻ってくる。そして、「確かに俺はああなることを望んでいた。でも、あれは本当の俺じゃないから」と涙を流す。父親に負けず劣らず、面倒くさい男なのだ。
泣き虫親子の旅も終わりが近づいてきた。一雄が「あと一度だけ大切な場所に行かせてもらえませんか」と懇願した場所はどこなのか。今夜9時から!
(島影真奈美)