このドラマでは、終戦から4カ月半後の1945年の大晦日に放送された「紅白音楽試合」をめぐる悲喜こもごもの人間模様が描かれるという。この「紅白音楽試合」こそ、1951年に第1回が放送され現在まで続く「紅白歌合戦」の前身である。松山ケンイチ演じるその主人公は放送協会の放送員(ディレクター)・新藤達也。これにはもちろんモデルがいる。NHKでラジオ時代から数々の音楽番組の企画・制作を担当してきた近藤積(つもる)という人物だ。
本記事では、ドラマを見るうえのガイドというか、ネタバレになりそうなので、むしろ見たあとでおさらいできるよう、近藤積が「紅白音楽試合」をいかに実現させ、番組はどのようなものになったのか、ちょっと紹介してみたい。
■「紅白」のアイデアは剣道から
今回のドラマの公式サイトを見ると、山田孝介(高橋克実)という人物の紹介に「戦前は剣道場を開いていたが空襲により焼失」との文がある。現実の近藤は学生時代に剣道の選手だったというので、おそらく劇中の新藤と山田も剣道を介して交流が生まれたという設定になっているのではないか。