ことしで開館60周年を迎える三重県・鳥羽水族館では現在、日本の水族館で初めて「スナドリネコ」が展示され話題になっている。
魚を食べるネコ科の動物が水族館で見られるというのがまず不思議だし、人気マンガ『ぼのぼの』(いがらしみきお作)でおなじみの生きものではあるが、実際に生きて動いている様子を見たことのある人は少ないのではないだろうか。

水を怖がらずに魚を獲る猫「スナドリネコ」の生態に密着!
こちらが話題の鳥羽水族館のスナドリネコ。ひと回り大柄な右側がオスで、左側がメス。

このスナドリネコは3月21日にオープンした新ゾーン「奇跡の森」に登場。すでに同館の人気者となっている彼らについて、鳥羽水族館企画広報室の杉本さんに尋ねてみた。ネコ科の動物を展示したきっかけは、
「60周年を記念して大改装するこのゾーンのスターとなり得る動物を探っていたところ、水を怖がらずに漁をするネコがいることを知りました。調べてみるとその生態もユニークであり、鳥羽水族館の“水に関連する生きものを主に展示する”というコンセプトとも一致したので導入を決めました」
とのこと。

このスナドリネコはペットなどのイエネコよりもやや体格が大きく、もともとはインドネシアの島々からインドシナ半島、中国南部などの沼地に暮らす生きもの。水に潜って魚を「漁(すなど)る」ことからその名が付けられている。

実際に動く彼らのどんなところが魅力的なのだろうか。
「普通のネコとは違った表情を見せるところに注目してほしいです。威嚇するときなどはネコと言うよりまさにヒョウやトラを思い起こさせますし、警戒心が強く、野性味にあふれる生きものです。水に入って魚を捕らえるシーンを、水族館ならではの展示で実現したいですね」
と杉本さん。

写真で見るスナドリネコはなかなか愛嬌のある顔立ちだが、とても警戒心が強く臆病なため、飼育スタッフでも全く触れることはできないのだそう。
「良い意味で一定の距離を保つことを心がけて、慎重に飼育しています」(杉本さん)
と、初めましての彼らを気遣いながら展示を行っているのだそうだ。


ちなみに、スナドリネコについて先述のマンガ『ぼのぼの』で知った人も多いのではないかと思う。今回の新ゾーンのオープンにあたっては、『ぼのぼの』の作者のいがらしみきおさんが描くぼのぼのやスナドリネコさんが同館ウェブサイトにも登場している。「いがらし先生にイラスト使用をご相談したところ、快諾をいただきました。また先日の『奇跡の森』のオープンセレモニーには、先生にもご来館いただきました。先生も本物を見るのは初めてだそうで、喜んで写真をたくさん撮られていましたね」(杉本さん)という微笑ましい光景も見られたのだとか。
水を怖がらずに魚を獲る猫「スナドリネコ」の生態に密着!
4月5日までのイベント期間中はトカゲの仲間やヘビに触れることができたり、頭上をタカが飛んだりと、これまでにないドキドキ体験が可能な新ゾーン「奇跡の森」。

このスナドリネコを含め、約60種700頭の生きものが展示される「奇跡の森」ゾーンでは、珍しい生きものが見られるだけでなく、来館者を楽しませる趣向も目いっぱいに凝らされている。

「カエルやカメはもちろんですが、アルダブラゾウガメやユーラシアワシミミズク(大型のフクロウの一種)、カメレオンなどの生きものは子供たちだけでなく大人にも人気です。またイベント期間中のふれあいタイムでは飼育員が連れてきたヘビやトカゲにも触れられることも魅力のひとつです。他にも吊り橋を渡るところなどがあり、テーマパーク的な要素も含まれているのでおすすめですよ」(杉本さん)

オープン直後から水族館一のにぎわいを見せているという同ゾーンでは、4月5日(日)までクイズやスタンプラリー、記念撮影ができる“ふれあいタイム”(1日2回実施)などのオープニングイベントを開催中。
鳥羽水族館以外にもイルカやアシカのショーが見られる「イルカ島」を含む鳥羽湾めぐりや、獲れたての魚介グルメといったお楽しみもあるので、ドライブや旅行がてら遊びに行ってみるのはいかがだろうか。
(古知屋ジュン)

【鳥羽水族館】
営業時間:9:00~17:00(※入館は閉館の1時間前まで、GW期間中などは営業時間変更の場合あり)
休館日:年中無休
料金:(4/1より)大人2500円、小・中学生1250円、幼児(3歳以上)630円