「負けたくなかったので頑張りました」……昨年フィンランドで開催された『エアギター世界選手権』で優勝した名倉七海さんの言葉だ。まだ19歳の女子大生である。
4月22日には吉田拓郎の曲をカバーしたファーストシングル『ふざけんなよ』を発売する彼女に、エアギターについて伺った。
19歳女子大生エアギター新チャンピオン、名倉七海の『ななみん斬り』
▲エアギター世界選手権(2014)チャンピオン 名倉七海。19歳。

●ズバリ、勝因は?
決勝大会は第1ステージと第2ステージがあり、第1ステージは自分が用意した曲でパフォーマンスができるが、第2ステージはその場で課題曲が発表されるため、即興でパフォーマンスの内容を考えなければならない。
「嬉しいことに、第1ステージは1位通過だったので、第2ステージの出番は一番最後でした。構成を考えたり、他の人のパフォーマンスを見たりしながら出番を待ちました」
――他の人が凄いパフォーマンスをしている姿を見てしまったら、不安になりませんか?
「不安になりますが、ステージに立つ時は、後悔しないように全力でやって楽しむようにしているので、『大丈夫!』と自分に言い聞かせてステージに立ちました」
ステージで心がけたのは、客席の端から端まで見えるように四方八方に動くことだったという。

●もともと所属していたアイドルグループが解散。その後も練習を一人で続けていたのは、ファンとの約束を果たすためだった
名倉七海はエアギターアイドル、テレパシーのメンバーとして2012年にデビューした。
5人組のセンターで活躍するも2014年に解散。アイドル時代にファンの間で交わした「エアギター世界一への挑戦」を、ユニット解散後も一人で続けていたのだ。
「絶対に優勝しないといけないと思って、ユニットが解散した後もずっと練習をしていました。負けたくない気持ちが強かったんです」
――エアギターの練習はどのように行うんですか?
「スタジオなどにこもって、鏡を見ながらどうやったら格好よく見えるかを研究します。『自分ならではの技を一つ見つけると良い』と教えてもらったので、自分の技を追求していきます」

●『ナナバウアー』と『ななみん斬り』
名倉七海の脳内は忙しい。何かの動きをエアギターに取り入れられないかと、センサーのようなものが働いている。
動き(技)の引き出しは、たくさんある方が良いのだ。実は世界的俳優、三船敏郎の『七人斬り』の動きをモチーフにした『ななみん斬り』という技も生み出している。
「父から古武道の盾のやり方を教えてもらったんです。海外の大会だったので、日本らしさを取り入れようと思い、衣装も和風の柄にしました」
また『イナバウアー』のように体を反り返る『ナナバウアー』も編み出して技に取り入れた。エアギター世界大会で披露して、大歓声を浴びた。

●実は運動が大の苦手だった
両親も弟もリレーの選手になるほどの運動神経の良さだったが、自分だけは足が遅かったという。

「小さい頃はよく転んでケガをしていたほどです」
転機は9歳からヒップホップダンスを習い始めたことだった。母とダンススクールを見学に行ったことがきっかけで、そのままハマった。
「ダンスは大好きだけど、体育の授業は苦手で、球技では顔にボールをぶつけてしまうほどだったんです(苦笑)」
それでも、エアギターで世界チャンピオンになってしまったのだから、人生はどうなるか分からない。
19歳女子大生エアギター新チャンピオン、名倉七海の『ななみん斬り』
▲名倉七海。インタビュー中は終始和やか。

●中森明菜の曲でひとりカラオケ
趣味の一つにひとりカラオケがある。
「中森明菜さんのファンで、『少女A』『DESIRE(デザイア)』など、色々な曲をひとりカラオケで歌います。明菜さんのファンになったのは母の影響です。
明菜さんの格好いい面と可愛い面の2面性があるところが好きです」
――そうそう。しかも『TATOO』の時はものすごく格好よく歌っていたけど『ザ ベストテン』(TBS)で中継先から『TATOO』を歌った時に、終始ニコニコしながら歌ったことがあるんです。すると『やっぱり、笑顔の明菜ちゃんは素敵』って大反響だったんですよね!姫路駅からの新幹線中継の時も……(以下略)。
……しまった。中森明菜のファンと聞いて、明菜(しかもオンタイムで)ファンだった筆者は聞き手だということを忘れて語ってしまった。「大反響だったんですよね」と同意を求めたところで19歳の名倉はキョトンである。

19歳女子大生エアギター新チャンピオン、名倉七海の『ななみん斬り』
▲エアギターのチャンピオンだが、本物のギターを持っても凛々しい名倉七海。

19歳女子大生エアギター新チャンピオン、名倉七海の『ななみん斬り』

●吉田拓郎の名曲をカバー
ファーストシングル『ふざけんなよ』のダンスの振り付けは自分で考えたそうだ。
「拓郎さんは、感情をぶつけながら歌っているから、私も感情をぶつけることを意識して歌っています。普段の生活の中で『ふざけんなよ』と思うことはたくさんあると思いますが、この曲を聴きながら一緒に『ふざけんなよ』って叫んでもらったら嬉しいです」
ちなみに、名倉が最近「ふざけんなよ」と思ったのは、飲食店で鶏肉料理を食べたら、鶏肉にしっかりと火が通っていなかったこと。
「店員さんに伝えて取り替えてもらったんですが、次に出てきた鶏肉も内側に火が通っていなかったんです」
4月はとりわけ人前で歌う機会が多いという。ひょっとしたら鶏肉のことを思い出しながら「ふざけんなよ」を歌っているかもしれない!?
(取材・文/やきそばかおる インタビュー撮影/今井健太)

名倉七海公式サイト
名倉七海公式ブログ 
「ふざけんなよ」PV完成
19歳女子大生エアギター新チャンピオン、名倉七海の『ななみん斬り』

・4月10日(金)『バズリズム』(日本テレビ系 深夜24:30)出演
・4月11日(土)上野公園野外ステージ(水上音楽堂)「FOLK GALA SQUARE」
 入場料500円(高校生&外国人パスポート持参 無料)11:30~17:00
そのほか、4月18日(土)池袋サンシャイン噴水広場、4月24日(金)ららぽーと豊洲シーサイドデッキ メインステージ、4月25日(土)『肉フェス』駒沢オリンピック公園、26日(日)イオンモール北戸田1階セントラルコートにてミニライブ&握手会。
5月8日(金)には渋谷REXにて初の主催イベント『ガ! ガ! ガール!』も開催。
いずれも詳細は名倉七海公式サイトにて。