
飲んでみると、コクがあり、自然な甘味が口中に広がる。濃厚な旨味については、「そういえば、あるソムリエの方はマッシュルームの香りがすると表現していましたね」と聞き、もう一度飲んでみると、なるほど、確かにそんな気も。不思議なのは、これだけ濃厚なのに口当たりはサラリとして後味がすっきりしていること。喉を自然に通っていくから、何杯でも飲めそうだ。
【「香しずく」は他の牛乳と何が違うだろうか?】
冨田ファームの方に話を聞くと、同ファームの最大の特徴は「循環農法」を実践していることだという。循環農法とは、牛の排泄物を肥料として均一に農地に還元して牧草を育て、その牧草を牛が食べる……という繰り返し。化学肥料などは一切使わず、環境にやさしく、安全な牛乳を生産している。
循環農法を実践している農場は日本でも数少ない。冨田ファームが循環農法を始めるきっかけとなったのが、故・黒澤酉蔵さんの「酪農は唯一化学肥料の要らない農業である」という教え。黒澤酉蔵さんとは、酪農学園大学の創始者で、現・雪印乳業の創始者のひとりでもある。冨田ファーム社長の冨田泰雄さんは、酪農に関する資料を読みあさる中で、黒澤さんの教えに出会い、やってみようと思ったそうだ。
試行錯誤の末に循環農法による牛乳づくりを確立し、いまでは「原料に勝る技術なし」を座右の銘に掲げながら、上質な牛乳やチーズづくりに取り組む冨田さん。上質な牛乳から作るチーズのクオリティにも定評があり、数々の賞や認証も受けている。洞爺湖サミットでも提供され、フランスの名シェフ、ミッシェル・ブラス氏からも絶賛されたそうだ。