Mr.Childrenのほとんどの曲の作詞と作曲を手掛ける桜井和寿にはさまざまな天才エピソードがある。たとえば、「終わりなき旅」は半分寝ながら書いた、"音楽が降りてくる"感覚で曲を作るなどだ。
また、以前にスガシカオと対談した際に「曲作りにおいてスランプはない」と語るなどその才能はとどまる事を知らない。
今回はそんな桜井さんの天才エピソードや圧巻ともいえる曲作り秘話を紹介していこう。

【天才さを表す雑誌での証言】


まずは桜井さんの天才ぶりを垣間見える雑誌のインタビューを見ていこう。

曲は"降りてくる"もの
アルバム「シフクノオト」発売に合わせて特集された別冊カドカワでは、「音楽を作ってるというのはちょっと違って"自分を通して音楽が降りてくる"と言う感覚」と語っている。このインタビューからも分かる通り、桜井さんは曲が"降りてくる"タイプだ。
また、雑誌「ワッツイン」でのあるインタビューでは、曲を作るために「自分の意識をどんだけなくすことで思いを湧き上がらせるか、自然にいかに思いを湧きあがらせるかという作業」をすると語っている。まさに桜井さんにとって曲作りというものは、考えて生むのではなく、湧いて出るものなのだ。

歌詞で未来を予言?
また、桜井さんは自身が書いた歌詞が予言めいたものになる経験が結構あるという、常人には理解しがたいことを語っている。確かに、桜井さんが小脳梗塞に倒れた後に発売した「HERO」はこのエピソードに当てはまる。この曲は生まれたばかりの我が子に対する思いを歌っており、「病気後に我が子のことを思い書いた」と思われがちだが、実際は病気前に「HERO」が出来上がっていた。
ちなみにこのエピソードは雑誌「ワッツイン」における宇多田ヒカルとの対談で話されていたのだが、対談相手の宇多田はこの桜井さんの話にとても共感していた。まさに天才同士、分かりえるのだろう。

調子が良い時の曲作り
アルバム「HOME」レコーディング時のエピソードだが、調子が良かった時は1日2曲のペースで曲と詞の両方が付いたフルの作品が出来上がり、メンバーに披露していたという。
これには長年共に活動するメンバーも驚いたらしい。
また、つい最近のインタビューでも「歌詞書く作業は乗ってくると凄い、自分でも思いもよらなかったことを書いてる瞬間があって。自分は本当に天才なんじゃないかと思う瞬間がある」「Rolling Stone (ローリング・ストーン) 日本版 2015年 01月号」と語っている。

自分でも予期せぬ歌詞
自分でも思いもよらなかったことを書くと語る桜井さんだが、確かにこれ関係のエピソードがいくつかある。
例えば「しるし」。この曲はサビの"ダーリン ダーリン"という歌詞が特徴的だが、桜井さんはこの歌詞を書いた理由を聞かれて「"ダーリンダーリン"とあるが、メロディがそう歌ってくれって言ったから歌っただけ。浮かんだ後で恥ずかしくて躊躇したが、しょうがない。俺のせいじゃないから」(papyrus 2007年 04月号より)と答えている。
また、アルバム「HOME」収録の「あんまり覚えてないや」制作にもこんなエピソードがある。桜井さんは電車に乗っている時、この曲が一気に浮かんだ。一番、二番と曲と歌詞がスラスラ浮かんだが、そのまま三番に入った時に、「ちゃんと覚えてるんだ」という歌詞が頭の中に出てくる。これは自分でも出てくると思っておらず、まるで「自分が聴いているような」感じになって電車内で涙を流したという。


【曲制作でのエピソード】


このように桜井さんは常人には経験し得ないエピソードをたくさん持っている。ここからは具体的な曲制作の話に掘り下げていこう。いずれもミスチルでも有数の名曲だが、これらの誕生秘話は信じられないものばかりだ。

「Tommorow never knows」 約276万枚を売り上げた名曲。桜井さんは3時間で曲のほとんどを完成させた。「勝利も敗北もないまま 孤独なレースは続いてく」という歌詞はランニング中に思い浮かんだもの。

「名もなき詩」 200万枚以上売り上げ、1996年の年間1位にも輝いた曲。桜井さんはこの曲について「ランニング中に頭がほんとに真っ白な状態からいろんな言葉がバーと生まれて出来た」と語っている。

「終わりなき旅」 歴代のミスチル曲のなかでも歌詞のレベルは最高傑作とも呼べる今作。しかし、この曲の歌詞は半分寝ながらの状態でそのほとんどを書いていたことが明かされている。「眠っていたら歌詞が浮かんできて、それを起きて書きとって、また眠ったら続きの歌詞が浮かんできて、それを起きて書きとって」の繰り返しだったらしい。

「Sign」 ドラマ「オレンジデイズ」の主題歌でもお馴染みの曲。
酷い二日酔いで最悪な体調の中、浮かんで出来たと桜井さんは語る。

「and I love you」 「日清カップヌードル」のタイアップの話があることを当時プロデューサーの小林武史から明かされる。小林から「桜井なら1時間で出来るでしょ」と冷やかされた後、僅か30分あまりでこの曲を完成させた。

これらのことからも分かるように、Mr.Childrenの名曲の裏にはかなり印象的なエピソードが隠されているのだ。
さて、そんなMr.Childrenは6月に新しいアルバム「REFLECTION」を発売する。曲誕生の背景にどんなエピソードがあるのか、それをイメージしながら聞くといつもと違った曲の魅力に気付くかもしれない。
(さのゆう)
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