4月の締め、30日(木)放送の朝ドラ「まれ」(NHK月〜土 朝8時〜)第28話は、海! トンネル! 逆光!の圭太(山崎賢人/大でなく立のほう)と一子(清水富美加)、 プール! 徹(大泉洋)と安西(六角精児)のろくでもない意気投合。同じ水場でこんなにも雰囲気が違うなんて驚きの見どころ盛りだくさんでしたが、
ひとつに絞るとしたら、板尾創路演じる紺谷課長でしょう。

ついに、父子の確執の原因を激白した板尾課長じゃなくて紺谷課長。

「俺は・・・
俺は漆にかぶれるんだ。」

「ほやけど 俺は
生きとるかぎり
このうちの敷居は またがん。
いや またがれん!

生の漆や あるさけな!」

他人から見たらたわいないことを唐突にでも真剣に語る(しかも方言になって)彼の姿に、「ごっつうええ感じ」の板尾係長(出世して課長時代もあった)を思い出しました。
こういうシュールな空気作りは板尾さんの真骨頂ですが、まわりのリアクションもその空気をもり立てていました。
板尾さん(紺谷課長)が激白した後、希(土屋太鳳)はじめ、市役所職員たちは思わず笑ってしまいますが、板尾さん(今回、板尾さんと呼びたい)がまれたちを振り返ると、みんな笑いをこらえたり、顔を背けたりします。
そのとき、新谷(山本圭祐)が女性職員・広瀬裕子(南千尋)の影になってしまいます。わざと隠れたのか、惜しくもカメラに隠れてしまったのか、微妙過ぎてわかりにくいのですが、あえてに違いないと推測します。というのは、板尾さんが語っているとき、奥の部屋にいる職員たちがそっと近寄って聞き耳を立てているところも映している細やかさなので、うっかり新谷が隠れちゃったってことはないと思うんです。
ふつうなら新谷の表情も映すところ、彼はあえて隠れて課長に表情を見せなくしている演出なのではないでしょうか。
24話の「文さんクイズ」のときも徹の前に一徹(葉山奨之)がかぶって顔が隠れてしまっているときがありました。いつでもきれいに出演者全員の顔が映ってなくてもいいという考え方なのかもしれません。
なにしろ、この回、弥太郎(中村敦夫)が、
「見えんところに魂が宿るがや。」と言っているので。
その気概は「まれ」にもあると思うので。

ただ、希が「お・・・」という口をしたアップで、髪の毛が一本、顔の前にかかってしまっているのは気になりました。
まあ、これも、あえて作り込まない自然な雰囲気を狙っているのかもしれませんが。

で、板尾さんの背後の柱には、
「つなごう親子の絆」という張り紙が。
希の背後の張り紙は「祭りはほどほどに」でした。
ほどほどにしてほしいのは、徹の夢であります。
(木俣冬)

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