飯田 お! 今回は評価が真逆かー。じゃあ、対比していきましょうか。
親子&教育テーマという観点でいくと、『バケモノ』は「道を踏み誤っちゃう一郎彦と、踏みとどまる九太の差は結局なんなの? あの展開だと教育の力ってなかったことになるじゃん」という不満がある。『BORUTO』は、ズルをするだめな子どもとしてボルトを描いていて、そこからサスケやナルトと触れあうことで更正するという、きれいな流れになっている。
藤田 ぼくはそこが不満すぎますね。若いゲーム世代に、努力の価値に目覚めさせたり、親の偉大さを感じさせることがストレートすぎる。
飯田 ボルトが冒頭でマジコンを使ってRPGのキャラをいきなりレベル100にするというのが現代っぽいところ。
藤田 前作よりも現代風の世界観に変わっていて、ファミレスらしきところで主人公のボルトがゲームをしていて、チートを使う。それと、「科学忍具」という、努力なしに忍術を使える設定とが、平行するんですね。忍者としての心構えを作る修業時代だけならともかく、科学忍具は里を守るためには有効に使えるはずなので世界観と整合性がない。ナルトもコンピュータみたいなの使ってるのに。
飯田 中忍試験「では」ダメって話でしょ?
藤田 科学忍具は、ボス戦でも悪者にされてましたからね。映画全体としては否定的に描かれていた。「次世代」を描くなら、「次世代」は、科学忍具やゲーム的感覚と、古い忍者の体質を両方持っている、だからこそ、ラスボスに勝てる、みたいなのが、ベタだけど妥当な流れなのでは。
主人公の魅力がなさすぎる。というか不快。