【大人が見ても笑える、質の高いエンターテイメント】
『なんでもあ~りのっ 楽しい駅♪ 楽しい仲間♪ 滅多に電車は来ないけど♪』
さて、この歌はなんの歌でしょう!?
90年代後半に幼少時代を過ごした人、はたまた育児中だった人は覚えているかもしれない。歌い手はハイトーンボイスのグッチ祐三さん。この軽快な曲は、当時放送していた教育テレビの子供向け番組『ハッチポッチステーション』のオープニング曲だ。
ハッチポッチ(ごちゃ混ぜの意味)という架空の駅を舞台に繰り広げられる日常を、「ジャーニー」「ダイヤさん」「エチケットじいさん」らのパペットと、唯一の人間「グッチさん」が、コント仕立てでやり取りするエンターテイメント番組。子供向けと言いながら、一緒に見る親世代をかなり意識して作られていた。
【替え歌のセンスが抜群! 洋楽のパロディはこの人しかいない】
グッチ裕三さんは、最後のコミックバンドとも言われる『ビジーフォー』のボーカルで、洋楽のモノマネを得意としていた。彼の強みを最大限に生かしたコーナー「WHAT'S ENTERTAINMENT?」では、なんとモノマネレパートリーに童謡をミックスさせ、ミュージックビデオを完コピする、という荒業をやってのけたのだ!スゴいぞNHK!
ある時は、KISSのパロディでKISSA。歌うのは『デトロイトトロイトロックシティ×おはなしゆびさん』
「この指パパ 太っちょパパ ワオワオワオワオワ―――――オ(雄叫び) ゆーびから血~が デ~トロイト シップして♪」
もちろんグッチさんもバッグバンドのパペットも、あのメイクだ。
またある時は、ジョン・トラボルタのパロディでジョン・トラボタル。『ステイン・アライブ×クラリネットをこわしちゃった』をサタデーナイトフィーバー風に歌う。
「壊れたおんぼろクラリネット 捨て~なさい 捨て~なさい♪ AH AH AH AH 捨て~なさい 捨て~なさい♪」
子供達が元ネタを知らないのは当然のこと。親世代は懐かしのビートルズやマイケルジャクソン、ジョントラボルタにアースウィンド&ファイヤー、QUEEN、ABBA、KISSなど、80年代に流行した洋楽のパロディを、もはや子供そっちのけで歌っていたのだ。
【また見たい、グッチ裕三のお家芸】
最近のグッチさんは、料理番組によく出演している。料理上手な面白いおじさんと認識している人もいるだろう。しかし洋楽パロディこそが彼のお家芸で、他の人には絶対真似できないものだ。料理ばかり作ってないで、また懐かしのネタが見せておくれよ兄さん。
『ハッチポッチファミリー』
