星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

■星野源のひとりエッジ in 武道館
2015.08.12(WED) at 日本武道館
(※画像10点)

星野源だからこそ実現した、“ひとりぼっち”の無限の広がり

アリーナのセンターにステージが設けられ、1万3000人がそれを見守る。やがて星野源が登場し、集まってくれた人達に頭を下げる。
四方に向かい、一つひとつ、丁寧に……。ギターを抱え、歌い出したのは「バイト」。彼の紡ぐ歌詞って、目の前のことだけじゃなく、心の裏側へも訪ねていき、そこで見つけたことも描いていく。1曲目にして、早くも独自の世界観が武道館を満たす。

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

ギター一本というと、シンプル、という言葉も浮かぶけど、この楽器はリズム隊の役目も果たす。実際、曲によっては観客の手拍子を誘い、会場を盛り上げる。
CDでは大編成のアレンジが魅力の「地獄でなぜ悪い」といった作品が、まったく“寂しくなく”届いてくる。いや逆に、彼の音楽性の幅や奥行きが、ギター一本ゆえ強調されると言ってもいいだろう。時折、凝ったフレーズも混ぜ込むギター奏法は、実にセンスがいい。圧巻は「Crazy Crazy」。ここで一端、ステージを去る。上方から囲いのようなものが降りてきて、どうやらセット・チェンジの模様。
再び上方へ。すると目の前の光景がガラリと変わるのだった。

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

第二部はちゃぶ台の置かれた彼の部屋、という設定である。座布団に座り、手にはギター。「営業」という作品を書いたら、実際にそんな立場の人が共感してくれたというエピソードを嬉しそうに語る。さらにゲストとして、俳優の神木隆之介が登場。
部屋に遊びに来たという設定で、しばしふたりで談笑する。1万3000人が見守っていることをまったく意識してないかのようなリラックスぶりだ。神木にお菓子を勧め、横にあった雑誌を彼が読んでいるという状況の中、お構いなしに「老夫婦」を歌い始める。こ、こんなライブは初めて観たぞ!

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

彼はMCのなかで“武道館でのひとりぼっちを遊ぶ”といった表現を使っていたが、いつしか1万3000人の集団であるはずの我々も、“ひとりぼっち”に分かれ、一対一で彼と対峙するかのような気分になっていく。このコーナーの圧巻は「レコードノイズ」。後半でシンセのシークエンスが被さって、“山並み 川縁”という歌詞の広がりと同期していく。
エンディングで再び囲いが降りてきて、スクリーンの役目を果たし、そこには遙かな地平を臨む風景が……。脳のなかで無限の旅をするかのようなゾクゾクする瞬間だった。

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

やたらカジュアルだった時間のあとはフォーマルに、ということなのか、星野源はスーツ姿で再登場し、手にはラジカセ。ここらでリズムも欲しくなったと心境を語り、このラジカセがリズム・ボックスの役割に。「マッドメン」からスタート。でもふと見ると、横にはドラム・セットがあり、「いち に さん」の冒頭、彼はその前に座る。
スティックを持ち、その場で録音。リズムのループを作り、それを流しつつ演奏する。このアイデアは「桜の森」「夢の外へ」へ続き、大盛り上がりで本編が終了する。

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

星野源 日本武道館をたった一人で沸かす! ゲストには神木隆之介も登場/ライブレポート
撮影/岸田哲平

アンコールではステージにおける星野源の“第二人格”とも評すべき“ニセ明”が登場。実は幕間で彼へ出演交渉するシーンが流されていて、すでに伏線は充分だった。「君は薔薇より美しい」。
見せ場の“君は変わったぁぁぁ~”のロング・トーンの、最後のほうをわざと息絶え絶えっぽくしてみたりと、この人は実に芸が細かい。そして筒状のカーテンの中の生着替え。1万3000人のなかの“ひとりぼっち”もここに極まれり、という光景だ。星野源へと戻って、最後は待ってましたの「SUN」。この曲のリフはめちゃくちゃカッコいい。時計を見れば3時間が経過していた。ソングライターとしての奥深さと、パフォーマーとしての闊達さが、見事に合わさって、大満足のステージだった。
(取材・文/小貫信昭)

≪セットリスト≫
-BUDOKAN-
1. バイト
2. ギャグ
3. 化物
4. ワークソング
5. 地獄でなぜ悪い
6. 透明少女
7. Snow Men ※新曲
8. フィルム
9. Crazy Crazy
-ROOM-
10. ばらばら
11. くせのうた
12. 営業
13. Night Troop
14. 老夫婦
15. くだらないの中に
16. レコードノイズ
- RHYTHM-
17. マッドメン
18. 海を掬う
19. いち に さん
20. 桜の森
21. 夢の外へ
<アンコール>
1. 君は薔薇より美しい
2. SUN

≪リリース情報≫
8th Single
『SUN』
2015.05.27リリース

【初回生産限定盤】(CD+DVD+スリーブケース)
VIZL-835 / ¥1,800(税抜)
【通常盤】(CD)
VICL-37059 / ¥1,200(税抜)

≪関連リンク≫
星野源 オフィシャルサイト
星野源 レーベルサイト
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