
141話は、こんな話
希(土屋太鳳)の店にやってきた陶子(柊子)は、厨房を借りると彼女なりのマルジョレーヌをつくり、徹底的に希の8年を否定する。すっかり落ち込んだ希は、お店を休業してしまう。
今日の、勝手に名言
「なに干からびちゃってんのよ」
やっぱり陶子(柊子)さん、独身を貫いていました。
マ・シェリ・シュシュの頃と比べてちょっとお肌が荒れ気味なのは、過ぎた年月と、多忙の現れでしょうか。
ケーキに人生賭けてきた陶子は、上記の台詞のほか「新しい味への好奇心も向上心もなくしたら発想は生まれないのよ」「もういいんじゃないの別にこのままで。結婚して子供もいて。地元の客がついた店があって、もう充分でしょ(中略)女の幸せ満喫して、余裕が出たから今度はキャリアを目指します。簡単にね、両方手に入れようなんて甘いのよ」などとことごとく希のケーキづくり及び人生観のぬるさを厳しく批判します。
締めは「なめんな」。「な〜め〜す〜ぎ〜」とギャグにもせずマジに吐き捨てます。
ただ、そんなに、当時、希のことを脅威に思っていたっけ? という気もしないではありませんし、第一、陶子さん、恋も仕事も欲しがってたじゃない、それが手に入らなかったから嫉妬しているだけだよね〜 という気もして、8時1分〜5分までの長時間にわたる柊子と土屋太鳳の緊張感あふれる対峙シーンを見るのにもいまひとつ身が入りません。
本来、ここは、先輩が後輩を虐めているようで、実のところ何かに熱く打ち込んでいる人間同士のスポ根みたいな魂の交流のカタルシスになりそうな場面です。ところがなぜか「まれ」では、女の欲望と嫉妬にまみれた言葉で相手を傷つける快感のほうが際立ってくる。何度も書いていますが、朝より夜っぽいのです。
去っていく陶子の細い首に浮き出る頸椎のとんがりが、言葉以外の何かを伝えようとしているふうでもありましたが、さて・・・。
悩んだ希は、お客さんにケーキを売らず、お店を休業してしまいます(ここもツッコ「まれ」ですが、あえてスルーします)。
ケーキに対する初心を忘れ気味ながら、師匠・大悟(小日向文世)の「閉店」グセだけは継いでいる、この表層ばっかりなとこを直さないと現実的には大成しないわよ、と、希を批評する陶子のような気持ちになりますが、「まれ」の国の常識では違うんでしょうね。
ひとつ、陶子がケーキつくりはじめるとき、手を消毒するカットをちゃんと入れる細かい演出には救われました。
今日の、気になる
マキ(中川翔子)と一子(清水富美加)が電話しているとき、テレビの中で歌ってる女の子は、クレジットによるとMayu。うたは「ほろよいヒロイン」
Twitterでつぶやいていました。
今朝のまれで「ほろよいヒロイン」が流れました!自分の作った曲が短い尺でも全国ネットで流れるというのはなんとも感慨深い…
— Mayu (@MAYU_151) 2015, 9月 9
彼女は土屋太鳳や「あまちゃん」の橋本愛などと同じ事務所SMAの所属なんですね。
(木俣冬)
エキレビ!にて月~土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))