これぞアイドルというキラキラした衣装を着て、『鍵のない箱』を熱唱しているKinKi Kids。しかし頭にはハゲカツラ……。
一体なにごと!?

KinKi KidsのコンサートDVD『KinKi Kids M Concert 2014-2015』が発売された。これは2014年12月30日と2015年1月1日に東京ドームで行われた『KinKi Kids Concert Memories&Moments』の模様を収録したもの。
堂本光一のヅラ、ミス連発の剛「KinKi Kids M Concert 2014-2015」
「M」をかたどったペンライト。「A」から始まるアルバムはもう「M」までリリースされている

昨年11月にリリースされた『鍵のない箱』に聞き入っていると、バックダンサーたちが二人を囲んだ。何やら準備が終わると、ダンサーが膝をついてしゃがむ。剛は白髪まじりのカツラ、光一は大きなアフロをかぶった二人が登場。衣装変えじゃくてズラ!
しかし、表情を崩すことなく歌い続ける二人。
途中でカツラが飛んでも笑わない。アフロが外れたはずの光一の頭にはスキンヘッドのヅラ、額には「36」の文字。アフロの下にもう一つ仕込むって……乗り気じゃないか!

この日36歳の誕生日を迎えた堂本光一。昔から変わらぬ美しい顔立ちに、ほどよく筋肉がついた抜群のスタイル。もう何年も帝国劇場の舞台に立ち続けている座長だ。そんな絵に描いたような王子様キャラの光一がヅラで笑いもとるなんて意外だ。


寝正月なんてもったいない!元旦から賑やかな東京ドーム


DVDに収録された元旦のコンサートを、実際に東京ドームで観覧してきた。若手のコンサートへはよく足を運ぶが、もう10年以上ものあいだ年末・年始の東京ドーム公演を続けているKinKi Kidsのコンサートに行くのは初めて。

元旦は実家への帰省や寝正月という人も多そうだが、東京ドームには見渡す限りの人の群れ。女性ファンが多いものの、男性もいればカップル、年配の夫婦、家族連れの姿もあった。ジャニーズだからって、若い女性ばかりが集まるとは限らないのだ。一年のはじまりである元旦から東京ドームを埋められるKinKi Kidsを改めてすごいと思った。

コンサートもどんな曲を歌って、どんな演出が見られるのか、全く予想がつかなかったが、セットリストもデビュー曲の『硝子の少年』から『愛されるより 愛したい』、『カナシミ ブルー』と熱狂的なファンじゃなくても知っている曲を盛り込んでいた。
初参戦で、さほどアルバムを聴き込んでいなくてもすぐに馴染めて、想像していたよりもはるかに楽しかった。

DOMOTO Family Bandによる生演奏


炎や水を使った特殊効果、映像と音楽をリンクさせた演出など、ジャニーズのステージにはたくさんの演出方法があるが、KinKi Kidsのコンサートでまず驚いたのがバンドメンバーの数。
バンドマスター/ベースの吉田建を筆頭に、メインステージにはギターにベース、ドラム、キーボードなどのリズム隊に、そこへサックス、トランペットなどの管楽器、11名のバイオリンにビオラやチェロなどの弦楽器と、総勢30名にも及ぶ「DOMOTO Family Band」のアーティストたちが並んでいた。これだけの人数での生演奏、さすがに素人でも違いがわかるほどの迫力だった。

バックダンサーには、ジャニーズJr.のユニット「ふぉーゆー」の4人と8人の女性プロダンサー。ドーンと炎をつかった特効や、ファンがステージそっちのけで上を向いてしまう銀テープも早々に舞った。若手グループのコンサートでは、まず見ることのない景色だ。


5万5千人を収容する東京ドーム。スタンド席ともなると、ステージ上の細かい部分までは見ることができないが、映像にはふぉーゆーのメンバーとふざけ合うKinKi Kidsの姿に、ハゲヅラをこらえきれずに笑う女性ダンサーの表情と、ステージに立つ人たちも楽しんでいる様子が見えた。


MCが1時間もあるのに退屈しないKinKi Kidsのコンサート


びっくりしたのが、約1時間のトークコーナーが設けられていたこと。噂には聞いていたが本当に長かった。が、退屈はしなかった。おまけに座っていたので体もラクだった。ファンへのさりげない配慮か?

逆にいえば、それくらい場を持たせられるということ。

で、何をしていたかというと、誕生日を迎えた光一のために剛がサプライズステージを準備していた。光一はステージの真向かいにある花道の中央まで移動を促されたが、動きたくないと寝転ぶ。ふぉーゆーのメンバーが担ぎ、寝たまま運ばれる光一。何度見てもすごい絵図だ。

正面のステージには剛が立ち、けん玉やテーブルクロス引きを披露。しかし全て失敗に終わる……。
リアクションに困った様子の主役は苦笑い。この後も演目は続いた。どうにか最後はケーキのろうそくを吹き消したが、次に何が起こるかわからないハラハラした雰囲気と笑いが絶えなくて一時間はあっという間だった。
コンサートでたくさんの曲を聴くのもいいけれど、笑いながらのんびりと過ごすのも新鮮だ。KinKi Kidsと平行してソロ活動にも励む二人。ユニットとしての姿を見られる時間って実は少ないのかも。

剛のペンライト講座で教わったとおりにペンライトを振ると……


堂本剛によるペンライト講座では、『ジェットコースターロマンス』にあわせたペンライトの振り方を教わった。これまでに上から下へとペンライトを振ったことがなかったので、笑いつつも一生懸命に振った。映像でみると、会場が一斉に振ることでライトの灯りが揺らめいていてキレイ。KinKi Kidsの二人はこんな景色をみていたのか。コンサートのはじまりからずっとステージの照明に圧倒されていたので、少しでも美しい景色を見せてくれたお返しになっているといいな。

DVDの発売にあたってテレビCMが流れたが、二人の歌声や豪華なセットよりも、剛がテーブルクロス引きに失敗する様子がメインに映った。なぜそこをピックアップしたのか!とツッコミたくなるが、派手なシーンばかりを集めてカッコつける必要もないのだろう。実際に東京ドームには人が集まっているわけで、そんなところにも長年活動している余裕や貫禄を感じた。
豪華な生演奏とハゲヅラが同居するコンサートも珍しい。

(柚月裕実)