「うちの子、スマホばっかりやってるから、つい頭にきて、『あなたの塾代(習い事)に毎月これだけのお金がかかってるんだから、ちゃんと勉強(練習)してよ!』って言っちゃったの。本当は子どもにお金の話をするのは良くないと思うんだけど……」
そんな話をするお母さんは少なくない。


確かに、子どもが寝てから家計簿をつけたり、夫婦でお金の相談をコッソリしたりする夫婦は多いことだろう。
でも、お金の話を子どもにするのって、良くないことなの?
ファイナンシャル・プランナーの柳澤美由紀さんに聞いた。

「お金の話を子どもに幼い頃からすることは、悪いことではありません。どんなにお金のある家でも、打ち出の小槌のように出てくるわけではないですし、子どもが将来親と同じように稼げるかはわかりません。ですから、子どもに早いうちから金銭教育をしておくのは大切なことだと思います」

例えば、あるお母さんは子どもに私立高校に行かせて欲しいと言われた際、キャッシュフロー表を見せて、「我が家の家計で、あなたに使えるのはこれだけ。習い事に今、これだけかかっていて、公立に行ったら、習い事も続けられるけど、私立に行ったらこれだけかかるから、それは無理よね?」という話をしたそうだ。

結果、本人は「公立高校に行きながら習い事も続ける」ことを選択し、通信教育で成績をキープしたと言う。
また、「我が家では、浪人は無理。国立でないと、大学進学は厳しいよ」と幼い頃から言われていた子が、それなりの覚悟を持って勉強し、現役で国立大に受かるというケースも少なくない。
「ただし、子どもの希望に対して、ただ『ダメ』と却下するだけでは、『なんでダメなのか』と子どもは不満を抱くだけです。『弟の学費にも』『食費でコレだけ』など、今の家計の状況を子どもにわかるよう見せ、話し、理解させた上で、親が決めるのではなく、最終的に子ども自身に選択させることが大切です」

「お金の話を子どもにすると、みみっちい子・ケチな子・卑しい子・下世話な子になる」と考える人もいるだろう。
だが、子どもが幼い頃から金銭感覚をきちんと教えつつ、義理ごとや必要な場面では出費を惜しまない人は少なくない。
そうした親の姿勢を見ている子は、メリハリのあるお金の使い方ができ、親と同じように義理ごとなどを大切にするようになる。

「お金のことを子どもと話すことで、親が自分のことを大事に考えてくれることがわかりますし、身の丈に合った暮らし方・お金の使い方を覚えるのは子どもの将来にとっても非常に大切です」

高学歴でもやりくりできず苦労している人はいる。お金がすべてではないけれど、「あるお金で工夫する楽しさ」を幼い頃から身に付け、将来、「自分で稼いで食っていく楽しさ」を感じられる子どもに育てたいものだ。
(田幸和歌子)

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