朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月14日(土)放送。第7週「だんな様の秘密」第42話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
玉木宏の頭ぽんぽんは罪だ「あさが来た」42話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

【42話は、こんな話】
支配人・宮部(梶原善)と相撲をとって勝ったあさ(波瑠)を見て、坑夫たちはついに働きだす。そして晴れて、あさも正式に炭坑に入ってみることに・・・。

相撲と女


ピストルを持ち出されたときはしぶしぶ働く気だった次郎作(山崎銀之丞)たちは、あさが実力で相撲の勝負に勝ったことから、態度が様変わり、信頼を寄せるようになる。
ピストルは武力がすべて。相撲も力でもの言わすものとはいえ、あくまで競技なのだ。ここの炭坑のひとたちは、武力で抑えつけられるのはいやだが、実力勝負ならちゃんと認める、潔さの持ち主ばかりでなにより。
あさが皆に理解してもらえるようになるきっかけに「相撲」を選んでいるところに作り手の狙いが見える。女性がやることを禁じられていた競技である相撲をあさが堂々とやって、男を負かす。そこに女性の希望が託されているようではないか。
ちなみに「カーネーション」では主人公・糸子が、女性はだんじりを引けないという不自由さに直面するところからはじまっていたが、「あさが来た」ではあさはやすやすと女子のできないことをやってのけている(趣味の域ではあるが)。
相撲を見ている時のカズ(富田靖子)の「負けたらつまらん」という台詞がいい。「負けたらあかん」でなく「負けたらつまらん」というチョイスにセンスを感じる。いい悪いじゃなくて、おもしろいかつまらないかという判断基準には罪がない。


新次郎のトラウマ


このドラマで、ピストルに近いのはお金。
とくに新次郎にとってはそうで、彼は、過去、お金の貸し借りによる悲劇を目の当たりにしていたことが語られる。
この話は正治(近藤正臣)と雁助(山内圭哉)だけが知っていると言う新次郎。その頃、大阪では、そんな大事な話を雁助がうめ(友近)にしてしまっていて、いいのか?と思うが、九州と大阪、両方で同じ話が語られることで、説明台詞の単調さが回避される。

次週以降の気になるふたり


42話の後半、女中ふゆ(清原果耶)が、お茶を褒め、頭ぽんぽんしてくれた新次郎をまぶしそうな眼で見ている。
九州では、あさを睨む、やさぐれた雰囲気漂う坑夫(サトシ/長塚圭史)の目線が気になる。
このふたりはドラマにどんなふうに関わってくるのだろうか。
いずれにしても、武力支配と金を忌み嫌う平和主義の新次郎だが、うぶな少女に頭ぽんぽんするのも、ある意味、罪深いと思うが、どうなのか。
(木俣冬)

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