エーピーの愛称で親しまれたコンビニエンスストア「am/pm(エーエムピーエム)」をご存じですか? 現在、日本国内にはありませんが、かつてはあのダウンタウンがCMをしたことで知られています。
それも手伝ってか、一時期の売上率はセブンイレブンやローソンを凌ぎ、業界トップクラスだったこともありました。
コンビニ業界へと参入から間もなかったエーピーが業界最王手と渡り合えたののはなぜでしょうか?

大手コンビニへの対抗手段だった「とれたてキッチン」


エーピーといえば、「とれたてキッチン」と言っても過言ではありません。この「とれたてキッチン」というのは、大手コンビニへの対抗手段として考案されたオリジナル商品でした。コンセプトは、合成着色料・保存料・化学調味料を使わない弁当の販売。当時のコンビニ業界は、加工食品というイメージが強かったため、競合他社との差別化を図ったそう。
「とれたてキッチン」の特徴は、棚に弁当を置く代わりに商品の写真とカードを設置し、レジにてカードと弁当を交換するというシステム。弁当は全て冷凍のため、スタッフが解凍・加熱をしたあと手渡します。弁当を冷凍販売することで、賞味期限切れによる大量廃棄の低減にも成功したのだとか。

いち早く電子マネーを導入


現在、コンビニでの電子マネー決済は当然の時代。そのはじまりは、Edy(現:楽天Edy)の普及が大きく関係しています。エーピーは2001年にEdyの加盟店になると、翌年の2002年には関東圏の店舗で電子マネーのサービスを開始。
その後、Edyは加盟店を増やしていき、PASMOやSuicaなども加えたことにより、他社のコンビニでも電子マネーの利用が可能になりました。ちなみに、エーピーは、1円単位からチャージできる希少な存在でもありました。

デリバリーサービスの元祖


1996年9月、エーピーはコンビニ業界初となるデリバリーサービス「デリス便」を開始します。首都圏を中心とした約360店舗が実施しており、配達圏内の住民がチラシを見て電話注文をするというスタイル。
商品は、おおむね60分で配達することが目安だったそうです。
その後、本格的なIT時代が到来すると、2001年にはインターネットによるデリバリーサービス「サイバーデリス便」も開始。今でこそコンビニのデリバリーは普及していますが、当時は最先端のサービスだったんです。

しかしその後は業績悪化に苦しみ、2011年にはファミリーマートが経営を引き継ぐ形で、エーピーの店舗は完全消滅してしましました。
もう、あのオレンジとブルーのロゴを見ることや、「あるといいな、がある」のキャッチフレーズを聴くことはできなくなっています。ただし、それは日本でのこと。アメリカでは、西海岸を中心に1000店舗以上が営業しているそう! 今後行く予定のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
(ぶざりあんがんこ)
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