
【67話はこんな話】
大阪商人の間で、炭坑の事故によって加野屋は危ないのではないかと噂される。
事故を作為的に起こした犯人をかばっているかのようなあさ(波瑠)に、五代(ディーン・フジオカ)は偽善者ではあかん、と忠告する。
サトシと雁助 あれだけ?
11週から気になっているのは、正吉(近藤正臣)のお体と、サトシ(長塚圭史)の過去。
だが、11週の1日めは、まだまだ結果は見せてもらえない。
タイトルバックでサトシが(回想)になってて、ええ! 66話であんなに雁助(山内圭哉)といい雰囲気に(BL的なことではありません)なっていたというのに、拍子抜け。
雁助に正体を見破られたせいか、ふいにいなくなってしまったと説明されただけで、67話はおわり。まあ、予告で、名場面になりそうなところがあったので、それを待つとする。
雁助は『強面』キャラとして、炭坑に君臨しつつあるようだ。
劇中、一回啖呵きったこともあるので、澄ましているけど、実は昔、走り屋でした、みたいな感じなのだろうか。もしくは、ヤクザ映画に必ずひとりいる経済ヤクザ的なキャラ設定なのか。
今日の最優秀俳優賞
正吉(近藤正臣)も、死ぬ死ぬ詐欺で(すみません)、何度倒れても回復する。しぶとい。伊達に激動の時代を生き抜いてきてはいない。
とはいえ、もうかなり悪いようで、よの(風吹ジュン)ともう一度お伊勢参りに行きたいという願いはかないそうにない。
長い間連れ添ってきたよのが涙を見せないようにしつつも、堪え切れない様子が胸に迫る。
正吉が「行きたいなー!」とできるだけ元気に明るい声を出せば出すほど切ない。「行きたいなー」が「(もっと)生きたいなー」にも聞こえてくるようだ。
風吹ジュンと近藤正臣の老いた夫婦の芝居が胸を打ったが、67回のベスト演技は、千代役の赤ちゃん。
寄り合い所の、商人仲間が、あさに「(炭坑が)つぶれるんじゃ・・・」と言うところで、うまいタイミングで泣きだした。
あと、にんじんさんにも亀助(三宅弘城)はんにも興味あるようにはあまり見えなかった千代が、五代のことはガン見してた。一瞬泣きそうになったけど、めっちゃ興味深そうに五代を見つめる眼が印象的。
双子のお父さんであるディーン・フジオカの子供慣れしたオーラのせいなのだろうか。それとも、背後で何か赤ちゃん用の仕掛けを行っているのか、巧みなカメラワークによるものなのか。
(木俣冬)
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