朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)1月9日(土)放送。第14週「新春、恋心のゆくえ」第84話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:新田真三
あさと新次郎ドキドキの歴史「あさが来た」84話
イラスト/小西りえこ

84話はこんな話


亀助(三宅弘城)とふゆ(清原果耶)が祝言をあげる。ふたりの幸せを喜びながら、あさ(波瑠)と新次郎(玉木宏)は自分たちが出会った頃を思い出し、
お互い、初めてのドキドキの相手であると認識を新たにする。

あさと新次郎のドキドキの歴史を振り返る


のろけかよ!

6回に渡って描かれてきた、ふゆと亀助の健気な恋の物語が、結果的には、あさと新次郎のラブラブの歴史の振り返りだったとは、やられた。

あさと新次郎は、
祝言の日、新次郎が紅葉狩りに行ったこと(12話)

祝言の夜、あさが新次郎を投げ飛ばしたこと(13話)

これらをなつかしく思い出し、

お姫様抱っこ(17話)

やっぱり妾はもらわないでと懇願(35話)。

などの名シーンは飛ばして、
最初のドキドキーー新次郎があさにパチパチはんをくれたこと(5話)

を振り返って互いに感慨にふけった。

あさ「はじめての思い人は、旦那さまやったんやな」
新次郎「わてもだす。なんべんあさに惚れ直していることか」
あさ「うちもだす」
あさ、新次郎の肩にもたれる。
新次郎、そっとあさの肩を抱く。

翌朝、九州に行くことにした亀助とふゆが旅支度中、手が触れて、ドキ。
ふゆがぎゅっと亀助の手を握り、見つめ合うふたり。

すべてがまるく収まったところで、気づいたことがある。


あさは、意識してるのかしてないのかわからないが、新次郎の浮気の芽をさりげなく刈り取っているではないか。
まず、あさは亀助の恋を応援していた。亀助が頑張れば、ふゆが新次郎の妾になる危険性が回避される。実際、そうなった。
さらにあさは、時々、元三味線の師匠・美和(野々すみ花)の店をチェックし、結果的に彼女とお友達になってしまった。これで、新次郎の行き先がわからない不安がいくらか解消される。
すごいぞ、あさ。
そして、じつは新次郎も同じで、あさの興味のあるビジネスの世界にも顔を出すようになり、五代(ディーン・フジオカ)とたまに飲む仲にもなっている。

あさと新次郎の間には、さほどドロドロした嫉妬のような感情は渦巻いていないようだが、感情がドロッと濃くなってしまう前に、夫婦仲の浄化を行っている。その手つきがさりげなさ過ぎて逆にこわい感じもするが、一度、結ばれた以上、これくらい気を使って、関係性を保っていくことが大事なのかもしれない。
と、ちょっとひねくれた見方をしてみたものの、結局、あさと新次郎はとっても仲良し、運命の出会いだったってことなのだ。

おひとり様がいなくなる


さて、あとは、うめ(友近)だ。

「うちは自分でこの道を選んだんだす」
「縁談も 色恋も このさき一生関わりありまへん。せやけどな 時々、誰かを思うだけでちょっと心があったこうなりますのや」
などとおひとり様視聴者を喜ばせる宣言をしたその舌の根も乾かないうちに、雁助(山内圭哉)が帰ってきて、表情を緩ませる。
気を利かした亀助が九州に行くと言い、雁助がそのまま大阪に残るみたいなので、うめのおひとり様卒業も近そう。
残るおひとり様は、美和だけか。
(木俣冬)

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