みかんの名所は数多いが、やっぱり最初に思いつくのは愛媛。みかん大国として名を馳せ、みかんジュースを蛇口から出してしまった時には軽くニュースになったほどだ。


そんな愛媛のみかん(柑橘類)の品目数は41(平成24年産特産果樹生産動態等調査:平成27年1月)。もちろんその数は日本で一番多く、名目ともに愛媛は柑橘大国なのである。

春が終わっても旬が続く


愛媛のみかんといえば最初に思いつくのは温州みかん。小粒で柔らかい風味が特徴で、その風貌は冬のこたつに乗せたいかわいらしさ。
ほかにも、1月から2月にかけては「ぽんかん」、「せとか」、「河内晩柑」など、様々なみかんが続々と登場する。愛媛県庁に伺ってみると「もちろんどれも愛媛県が生産量ナンバーワンです」とのこと。

ぽんかんは温州みかんが終わる1月ごろから登場するみかんで、濃厚な甘さと薄皮ごと食べられる柔らかさが持ち味。

せとかは高級志向のみかん。ジューシーかつトロッとした身が特徴で、こちらは2月から3月ごろが収穫時期。

そして冬が終わって春になっても柑橘の旬は続く。
3月から初夏にかけては清見が登場。春になるまでじっくり待って収穫するのでまさに完熟、な甘さを味わえる。

県庁の方によると、「紅まどんなや甘平といった、愛媛から生まれた新しいブランドのみかんもあります」
実は愛媛からは新しいみかんも生まれている。
それは、新しいみかんを研究する「みかん研究所」が2007年に誕生したことがきっかけ。
生産者同士が切磋琢磨し、品種交配によって愛媛オリジナルみかんが生み出されているというわけだ。

そんな新ブランドのひとつ「紅まどんな」の旬は11月から12月と、すでに旬をすぎてしまったが、ぱっと目を引く紅色の色合いと、濃厚で甘く柔らかい味わいが特徴。
そして甘平はその名の通り甘く、そして独特の食感。かつ平らな形も面白い一品。愛媛県としても、これからの季節はこの甘平が一押しという。
甘平の中でも品質基準をクリアしたものを「愛媛Queen スプラッシュ」というブランドで、県内はもちろん首都圏や関西に向けて販売するそうだ。

愛媛で柑橘類を年中収穫できる理由


みかんの種類にはことかかない愛媛。みかんといえば冬のイメージだが愛媛ではほぼ一年の間、何かしらみかんをはじめとした柑橘類が収穫されている。

なぜこんなにも種類が多いかといえば、傾斜地の多いその土地柄。瀬戸内の温暖な気候とその土地のおかげで、愛媛は100年以上前からみかんを中心とする柑橘類の生産が活発だった。
さらに新たな取り組みとして「人間が食べるみかん」だけでなく、柑橘類を牛に与えて育てた「愛媛あかね和牛」や、養殖のタイやブリに柑橘入りの飼料を与えた「みかんフィッシュ」など、新たな挑戦もはじまった。

柑橘と魚の相性がいいことは周知済み。タイやブリは口にするだけでふんわり柑橘のさわやかな香りが広がる一品だそう。

みかんを食べると風邪を引きにくくなる、なんて言葉もある。実際ビタミンが豊富で、2つ食べれば一日分のビタミンCが取れるとも。
ただし、最近のみかんはとても甘いので、食べ過ぎは糖分の摂り過ぎにもなりかねない。やっぱり一日2つくらいがちょうどいいそうです。

(のなかなおみ)