朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)2月26日(金)放送。第21週「夢見る人」第125話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
ヤバイ、工藤阿須加にすっかり夢中「あさが来た」125話
イラスト/小西りえこ

125話はこんな話


千代(小芝風花)は帝大生・東柳啓介(工藤阿須加)にすっかり夢中。

いまが一番暗い夜かもしれない


大隈重信(高橋英樹)の妻・綾子(松坂慶子)がやって来て、男たちはどんなに権力があっても立場が変われば態度を変えるかもしれないが、女たちは違うって主張したことが、びっくりぽんや! と笑って済ませられないほど薄ら寒い。そんなわけないだろう。女同士はそんなに結束固くない。
例えば、この時代、抑圧された女たちが強く団結しているのだったら、男女同権を目指した結果、女は大切なものを失ったってことだ。
これまで、歴史的なシリアス問題も、ファンタジック五代くんによって中和されていたのが、高橋英樹と松坂慶子の重鎮参加で、俄然、本格的大河ドラマ感が強まり、バランスが崩れてきた。今さら、「花燃ゆ」リベンジしなくていいのでは。
どうした「あさが来た」。ここまで順調にセーターを編んできたら、あと少しのところで毛糸が足りなくなった感じ? それとも、大河「真田丸」がホームドラマ化して、女性たちがほのぼのしてるから、朝ドラはあえてちょっと重み出してみたか。
100話以上描くのはそれだけ大変。ひとりで脚本と向き合っている作家は、いまが一番暗い夜かもしれない。最終回という朝まであと30話くらいだから頑張ってほしい。

はつの、頑丈なみかんの木と細いみかんの木の話は良かった。

それと、まるでいつも前座みたいな亀助(三宅弘城)も救い。五代(ディーン・フジオカ)の死のエピソードの前は、亀助の恋話で盛り上げて、千代の結婚話がはじまりそうな今、再び登場し、「役員秘書」になるよう命じられて盛り上げる。
そして、名優・亀助の前座で盛大に盛り上がるのか気になる千代と東柳啓介の関係がざわざわというかぞわぞわする。
「それにしても実にべっぴんだな」と言って、千代をドキとさせて「林檎のことだよ」とはぐらかしたり(124話)、「運がよければまた会えるかもしれないね」なんて思わせぶりしたり、新次郎とはまたちょっと違う手練感をちらつかせる啓介。それにしたってちょっと作り込み過ぎてやしないかと思いつつ、工藤阿須加は、どんな役を演じても浮世離れしていて面白いってことはよくわかった。
(木俣冬)

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