POLYSICS 新作『What's This???』で見せる相変わらず突っ走る姿勢/インタビュー1

■POLYSICS/New Album『What's This???』インタビュー全文(1/2)

バカバカしいことを手間ひまかけて、丁寧に作る

待望の新作は、その名も『What's This???』。いつでも最高の「なんだ、これ!?」を与えてくれるPOLYSICSを、これほど端的に表わしたタイトルもないだろう。ただならぬ熱量の曲が揃いも揃って19曲。ポリ史上最多のボリュームを誇るアルバムは、ハヤシが自身から湧き出るものを出し惜しみなしに表現した、ピュアな情熱あふれる快作だ。来年にはバンド結成20年を迎える彼ら。とっくにベテランの域なのに、その豊かな経験値をも遥かに凌駕するブッ飛んだアイディアと、怒濤のように押し寄せる密度の濃~いサウンドの応酬は毎度のことながら鮮烈に衝撃的。いつまで経っても老成とは無縁の3人に、制作中のエピソードを聞いた。
(取材・文/美馬亜貴子)

バンドが今年で19周年だから、せっかくだからそれにちなんで19曲入り

――すごいボリュームの新作が出来ましたね。POLYSICS史上最多の19曲入り。普通だとアルバム2枚分なわけですけど、労力も2倍でした?

ハヤシ:うん(笑)。最初は、いっぱい曲が入ってるオリジナル・アルバムって最近あまりないから、そういうのを作ったらいいかなって。それで、バンドが今年で19周年だから、せっかくだからそれにちなんで19曲入りにしよう、と。最初はそのくらいのノリだったんだよ。でもやっぱり大変だったね(笑)。

――昨年の夏からプリプロやってたんですもんね。

ハヤシ:プリプロはそのくらいからだけど、曲は一昨年の春くらいから作ってたんだよ。途中から『HEN 愛 LET'S GO!』プロジェクトが始まったから、一旦中断したけど。

――こんなアルバムにしたいというテーマはあったんですか?

フミ:19周年とか20周年って、普通はどっかり腰落ち着けて……みたいな感じになるけど、我々はそっちの方面には行かず(笑)。相変わらず突っ走ってるなあという。そういう部分を出したいよねって。

ハヤシ:『HEN 愛 LET'S GO!』でがっちりコンセプトがあるものを作ったので、今回はそういうの一切とっぱらってやろうと思ったんだよね。テーマは作らず、自然に自分から湧き出るものを、という感じで。とはいえニュー・ウェイブとか、音楽的な偏愛部分は自然に出てしまうんだけど(笑)。

――そうだったんですか。私はこれを聴いたときに全然別の印象を抱いたんですけど。例えば1曲目の「Introduction!」の最後のジャーンっていうギターは「Buggie Technica」の始まりのコードと一緒だし、「8 Beat Division」のイントロは「XCT」を彷佛とさせたりもする。そういう意味で、これまでのPOLYSICSらしさというか、“最良の部分”をアップデイトした作品、という印象でした。

ハヤシ:いや、そういう意図はないよ。「Introduction!」の最後のギターは“E”っていうポピュラーなコードってだけのことだし。「8 Beat Division」の「XCT」っぽいイントロに関しては、自分のルーツ的なものだから出ちゃったという感じ。以前はそういうのを出さないと決めてた時期もあったんだけど、今回は意識せずに作ったね。

――それで好きな音とか好きなフレーズが無造作に入ってるんだ。

ハヤシ:そうそう。

POLYSICS 新作『What's This???』で見せる相変わらず突っ走る姿勢/インタビュー1
【完全生産限定盤】

テーマ=ハヤシ

――いつもアルバム制作にあたるときにはモードがあるじゃないですか。今回は何モードだったんですか?

ハヤシ:それが今回はなかったんだよね。一昨年は、曲を作るときは1曲の中でいろんな展開が詰め込まれてる曲がいいなと思って、そのときに「SUN ELECTRIC」とかが出来たんだけど、『HEN 愛 LET'S GO!』が終わってからはノー・テーマで。

フミ:“テーマ=ハヤシ”ぐらいの感じで。

ハヤシ:うん、自分の好きなものって何かな?って思ったりして……なんだかんだ言って、3分くらいの中にアイディアが詰まった、自分がシャウトしてるニュー・ウェイブ・パンクみたいな曲が好きなんだなって思ったけど。

――だから自分の好きなテイストが全編通してダダ漏れになってるんだ(笑)。

ハヤシ:そうだね。ただ、内から涌き起こるものを。

――あと、「おっ?」と思ったのは、歌詞がいつもより憤っているというか、訴えかけてるような感じを受けるんですけど。<すぐ影響受けるな>(「Be a Human」)、<よく考えろもっと砕けろ>(「8 Beat Division」)とか。

ハヤシ:あんまりメッセージを伝えたいとは思わないんだけどね。訴えかけるようなテーマの曲を書きたいってわけじゃなかったけど……これまでは歌って気持ちいい響きとか、そういうのを重視して作ってたのね。言葉も“音”として捉えて、敢えて聞き取りづらいような感じにしたり。その結果、タイトルと曲の内容が全然合ってないとかいうこともあったんだけど、今回はそれをまたやるのもどうかなと思って、タイトルに沿ったイメージなり世界観のものを書くようにしたの。そういうアプローチはアルバム通してという形ではあんまりやってなかった。そういう意味では、歌詞の部分では新しいことにトライした感じですね。テーマはどうでもいいようなものでもいいんだけど、熱量が高いものを書く。どうでもいいことを暑苦しく叫びたいっていうのがある(笑)。だから歌詞には結構時間がかかりましたね。

フミ:全体を通して、その物語がなんなのかはわからない、シュールな物語かもしれないんだけど、世界がちゃんと成り立ってるものにしたかったんだよね。

――インタビュー2へ



≪リリース情報≫
New Album
『What's This???』
2016.03.02リリース

【完全生産限定盤】(CD+Blu-ray)
KSCL-2691~2 / ¥6,300(税抜)
POLYSICS 新作『What's This???』で見せる相変わらず突っ走る姿勢/インタビュー1
【完全生産限定盤】

【初回生産限定盤】(CD+DVD)
KSCL-2693~4 / ¥4,000(税抜)

【通常盤】(CD)
KSCL-2695 / ¥3,240(税抜)
POLYSICS 新作『What's This???』で見せる相変わらず突っ走る姿勢/インタビュー1
【初回生産限定盤】【通常盤】

[収録曲]
1. Introduction!
2. SUN ELECTRIC
3. アルプスルンルン
4. Funny Attitude
5. 8 Beat Division
6. Nail
7. Dig Down!
8. 春夏秋冬
9. Take Away
10. Be a Human
11. Flying V
12. ロボットマイムマイム
13. 1.2.3.4
14. ドップラーごっこ
15. Hurry Up
16. Vow Vow
17. 299
18. Tempo Tempo Tempo
19. Goody-Goody

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