朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月19日(土)放送。第24週「おばあちゃんの大仕事」第144話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出: 新田真三
最終回かと思った「あさが来た」144話
イラスト/小西りえこ

144話はこんな話


女子大学の生徒募集を開始したら、200人もの応募があって、思いがけない喜びに沸くあさたち(波瑠)。そうしているうちに、大阪恐慌が起こり、銀行がピンチに。

最終回のかたち


女中頭のかの(楠見薫)が「ほんにほんに」以外の台詞を言うのか、気になった翌朝の144回、よの(風吹ジュン)が亡くなって、加野屋を去ることに。
別れ際には「へぇ」(平十郎の口癖)と「ほんにほんに」という、いろいろ応用の聞く相づち台詞のコンボで決めた。
そこからタイトルバックへーー という最大の見せ場を用意する「あさが来た」スタッフの優しさににんまり。

いよいよ女子大学が開校。
1話の冒頭にあった、あさの「女性のね、やわらかい力が大切なんです」の挨拶。
「道をつくりますのや。」もそうで、波瑠は、こういう前向きな決め台詞が心地よく響くいい声をもっている。

ついに、波瑠も白髪まじりになっていて、感慨深い気持ちになった。
そして、
最終回かと思ったーー。

「新しい社会の核となるのは家庭だと思っています」
「家が楽しい いうのは 社会みんなのためになる」
「家庭なくしては一国は成り立たない」
などと、これでもかと「家庭」を強調する144回。今までの家父長制度から新しい家庭の形が生まれてきたこの時代、朝ドラというホームドラマは、この時代が生んだと言っても良さそうだ。
こんなふうにまとめる最終回の形もあったのではないだろうか。

近作の最終回を振り返ると、「まれ」と「花子とアン」は主人公がみんなに語りかける最終回(そういえば、花子は、“どんなに不安で暗い夜でも必ず開けて朝がやって来ます”と言っている。さすがモデルの村岡花子が広岡浅子主宰のセミナーに参加しているだけはあるということか)。「ごちそうさん」は主人公がひとりで待ってた夫がようやく戦争から帰ってくる 最終回。「あさが来た」では、主人公のあさひとりを中心に描いていけば、144回が最終回でよかっただろう。だが、新次郎(玉木宏)との“割れ鍋に綴じ蓋“夫婦の話を中心にしているため、女性の自己実現で締めるよりも、夫婦の姿を描く「マッサン」的な方向性になりそうだ。
だからか、父母、義父母が亡くなり、娘が結婚し、どんどん周囲に人がいなくなって、ふたりだけになっていくという状況をつくっているのかなと思う。
夫婦のやりとりがほんとうにいい感じの「あさが来た」なので、これからのあさと新次郎が楽しみ。
最終回まで、いよいよあと2週間!
(木俣冬)

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