朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)3月28日(月)放送。第26週「柔らかい心」第151話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
新次郎「ぽっくりぽんや」(嗚呼! ドラマって残酷)「あさが来た」151話
イラスト/小西りえこ

151話はこんな話


あさ(波瑠)に連れられて病院で検査した新次郎(玉木宏)、その結果に、あさはショックを受ける。

新次郎の達観ぶりが凄い


「ここ いてたいわ
ここでなぁ 一家みんなでな」

この台詞を言う時の玉木宏の声が、使い込んだ弦楽器みたいに震え、日本列島を包み込んで、新次郎ファンの心に共鳴した。
いよいよ最終週。
月曜日からいきなり、新次郎に厳しい宣告が!
病院の待合室で「ぽっくりぽんや」なんて冗談を言う新次郎。あくまでも飄々とし続けているが、きっと心の中は揺れているに違いない。ところが、その想像は外れた。医師から宣告を受けた後、ひとりでいる時でさえ、実に達観した顔だったのだ。どこまでこの人、人間が出来ているんだろう。泣いてしまうあさに「はあ よしよし」という包容力まで発揮する。
それでいて、あさの意外な一面は自分しか知らないのだと自慢する時は、無邪気。これが彼の生きる支えだったのかもしれない。
そんな新次郎が、今週、どこかできっと寿命が来るはず。嗚呼! ドラマってなんて残酷なのだろうか。実際、新次郎のモデルになった人物も、妻を残し、明治37年に亡くなっている。

はつ(宮崎あおい/大は立)が、惣兵衛(柄本佑)が亡くなってから半年経ってもなお引きずっているというのを聞いたあさは、自分もいつかそうなると思う。その姿が辛い。
また、はつの、新次郎の様子や薬を見てする心配そうな表情が、いっそう気持ちをかき乱す。
「あさが来た」の2大表情俳優は、玉木宏と宮崎あおいで、このふたりがどれだけ無言でドラマに陰影をもたらしたか、最終週、改めて思うのだった。

さて。150回で大島優子というビッグゲストが登場し、151回では医者役に渡辺いっけいが、ちゃんと大塚健作とフルネームもらって登場。
渡辺は大森美香が初めて朝ドラを書いた「風のハルカ」(05年)で主人公のお父さん役だった。また、「ひらり」(92年)ではお医者さん役(それまで舞台で人気者だった渡辺はこの役で全国区の人気を得た)だったので、長く朝ドラを見続けている人にとってうれしい登場だったろう。

今日の名言


うめ(友近)の「おなごの敵はおなごやいうのは太古の昔からの常でございます」が名言だったのだが、新次郎の話に掻き消されてしまった感じ。残念。
(木俣冬)
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