今はなき『エルティーン』という雑誌をご存知だろうか?
近代映画社から発行されていた、10代女子をターゲットにしたファッション雑誌で、1981年7月の創刊だが、2005年には休刊している。表紙には上戸彩や鈴木杏などが抜擢されたこともあり、ファッションページには渋谷109系のブランドが多く取り上げられていて、アイドルインタビューのページも。


一見『セブンティーン』のような、ギャル要素強めのティーン向けファッション雑誌にもみえる。
「エルモ」と呼ばれる読者モデルも大勢登場し、制服ファッション企画やダイエット企画、セルフメイクのページなど、等身大で発信されるファッションが人気を得ていたようだ。ちなみに、『エルティーン』で活躍していた専属読者モデルで、今もメディアで活動中の人は見つからない。今や伝説の存在となっている。
付録は、読モが撮影したプリクラをそのままステッカーにしたものや、人気ブランドとのダブルネームのアイテムなど、女子中高生が喜ぶようなラインナップだった。

読みものページがエロすぎる


しかし、『エルティーン』が他の雑誌と一線を画すのは、読みものページのディープさだった。イマドキな付録や特集に惹かれて購入した普通の女の子は、読者ページの内容に度肝を抜かれることになる。
読者の投稿による、下ネタ満載のドキドキエピソードや、エロいイラスト、オトナな用語辞典、「A」「B」「C」といった隠語……。
『エルティーン』の主な読者層は女子中高生。女子中高生にとってインターネットが今ほど身近ではなかった時代、彼女たちの性への好奇心を満たしていたのが『エルティーン』だった。

過激すぎた『エルティーンスペシャル』


『エルティーン』の読み物ページがさらに過激になり、ほぼ全ページを占める雑誌として発行されたのが、増刊の『エルティーンスペシャル』だった。
「ティーンの体験談NO.1マガジン」というコピーがついていたこともある。実際に読者の体験談が集められていたのか、実は編集部によって書かれたものなのかは謎だが、リアルなエピソードが満載の一冊。
ポップな表紙と裏腹に、袋とじまでついていて、18禁じゃなかったのが不思議なほど……。
「読者発 赤裸々体験告白」「ロスト・バージン」「先生と○○しちゃった」「THE!ひとりH大事典」など、あられもない見出しが踊る表紙。『an・an』のSEX特集など無難に思えるくらい、禁断味のある内容だ。
『エルティーンスペシャル』は、10代女子にとってまさに貴重なエロ本だったのだ。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりエルティーン 2007年 02月号
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