「マクドナルドの45年にわたる歴史上、2015年は最も厳しい年だった」と、株式総会でカサノバ社長が語ったように、何かとネガティブな話題ばかりが先行している近頃のマクドナルド。
迷走が続く現在、新メニューを導入しても批判的な声が多く、大ヒットは2010年の『Big America』シリーズが最後となった印象だ。

そもそも、マクドナルドの歴史は試行錯誤の歴史である。成功の影には派手にコケてきたチャレンジも数多くあった。特にイケイケの成長期にあった90年代初頭、そのチャレンジ精神は迷走どころか暴走していたようで……。

テスト販売で終わってしまったピザ


1991年7月、マクドナルドは東京都世田谷区の246用賀店で『マックピザ』(480円)のテスト販売を開始している。この年の5月にはフライドチキンが登場しており、それに続くハンバーガー以外のメニュー強化策の第2弾の位置付けだ。
この商品はアメリカのマクドナルド社が開発したものであり、縦17cm横10cmの長円形の生地に、トマトソース、マッシュルーム、サラミ生地など9種の具材を加えたもの。
当時の新聞記事によると、年内に数店でテスト販売をした後に全国拡大、95年をめどに全店導入を目指していたようだが、残念ながらテスト販売のみで終わってしまった模様。

ちなみに、アメリカでは現在でもオハイオとウエスト・バージニアの2店舗に限り、改良進化版のマックピザが楽しめるようである。

山田邦子をCMに起用した中華弁当&洋風弁当


1991年12月には、夕方5時からの限定メニューとして、中華弁当『マックチャオ』の販売を開始している。2段重ねのせいろ風の容器には、チャーハンとシューマイなどのおかずが数点詰まって730円。しっかりとした夕食を意識した強気な価格設定である。
このメニューは全国に導入されており、山田邦子を起用したCMも大々的に放送されていた。ご記憶の方も多いのではないだろうか?

発売当初は前年同期比で40~50%の売上増となるなど、話題に見合う人気はあった模様。しかし、飽きられるのも早く、あっという間に伸び率は鈍化。
テコ入れとして翌92年5月末には洋風弁当『ハンバーグチャオ』『カツチャオ』(各740円)を投入するも、大した話題にもならないまま8月には販売終了となった。

店内調理にこだわったカツカレーも登場


1992年3月には、都内の4店舗でカツカレーのテスト販売を開始している。
マックチャオに続くライスメニュー第2弾だ。マックチャオが夕方以降のメニューだったのに対し、こちらは午前11時から午後2時までの昼限定でスタート。商品名もズバリ『お昼のカツカレー』。
ご飯も店で炊くなど店内調理にこだわった仕上がりで、テイクアウトしやすいように深い丼型の容器となっていた。らっきょう、福神漬け、チーズと3種の薬味が付いて650円。高からず安からず、といったところか。

4月には静岡県内26店舗でもテスト販売を開始するが、思うような結果が得られなかったようで、5月には早くも『チキンカレー』520円、『ビーフカレー』550円にリニューアルしたよう。販売時間帯も午前11時~夜9時までに拡大し、8月にはマックチャオの終了に伴い全国展開を開始と、低価格に切り替えたライスメニュー路線を推し進めた。
一時的にはチキンカレーが好調だったようだが、これといった特徴もないカレーはやはり根付かないままにフェードアウトしたのだった。

こうして振り返ってみると、今の時代ならむしろイケそうな気さえしてきたが、いかがだろうか?
現時点での最新メニュー(4/6より販売開始)は『ビッグマック』を約1.3倍にサイズアップした『グランド ビッグマック』(520円)と、約2.8倍の『ギガ ビッグマック』(740円)。
看板メニューのビッグマックで勝負に出るようだ。
それなら、カレーや弁当の方が魅力的に映るような……。ともかく、頑張れ! マクドナルド!
(バーグマン田形)
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