『3年B組金八先生』は老若男女問わず知られたTVドラマの傑作シリーズだ。田原俊彦や近藤真彦、三原じゅん子を輩出した第1シリーズ、「俺達は腐ったみかんじゃねえ」でお馴染みの第2シリーズが有名だが、ファンの中には第5シリーズを最高傑作という声も多い。

今回はそんな第5シリーズはどういったストーリーだったのだろうか、振り返ってみたい。

担任が自殺図る 学級崩壊寸前だった3年B組


第5シリーズが放送されたのは1999年。舞台はいつもと同じ桜中学だ。桜中学は少子化の波に伴い介護老人保健施設が併設されたという設定になっていた。
第5シリーズは担任が授業中に生徒からリンチを受け、救急車で運ばれるというショッキングなスタートから始まる。しかも療養中の担任に対して葬式用の造花を「3年B組有志一同」という名で送られ、担任はショックから自殺を図るほどだった。

この担任の復帰に時間がかかるということで、金八がピンチヒッターとして3年B組の担任に。
担任となった金八はB組の生徒に向けて「中野先生(担任)の件の犯人探しはしません。ただし、君たちが人の心を踏み潰すような事をした時に私は君たちを殴ります」と宣言をする。

3年B組にいた黒幕の存在


B組がここまで荒れた原因は、優等生である兼末健次郎(風間俊介)がクラスの黒幕として様々な生徒を操っていたことだった。健次郎はクラスメイトの弱みを握り、弱みに付け込んで様々な仕掛けをさせていたのだ。

3学期が始まると、健次郎はクラスメイトを脅して、介護施設に通う老人で桜中学の校長も勤めていた大西(織本順吉)に喧嘩を売らせる。そのうちの一人が大西を突き飛ばしたことが原因で頭を打ち、ぐったりと倒れる大西。突き飛ばした生徒は大西が死んだと思いこみ、自殺を図るもすんでのところで金八らに止められる。


金八の体罰&辞表騒動


この事件の後で金八は、B組の生徒に対して「君たちはまた人の心を折った。中野先生の時、私は皆さんに犯人捜しはしないと約束しました。なぜだかわかりますか? 犯人は3B全員だからですよ。あの時の犯人は3B全員でした」と涙ながらに説教。
そして、「就任時に誓った人の心を踏み潰す生徒がいればぶん殴るという約束を今から果たす」と言い、代表5人をビンタして辞表を提出する。(後に生徒らの訴えもあり辞表は撤回)

母を刺してしまった健次郎


金八の辞表撤回後、クラスの黒幕的存在だった健次郎は3年B組で孤立をしていく。健次郎に脅されていたクラスメイトたちが健次郎の言うことを聞かなくなっていたのである。

さて、物語の終盤ではそんな健次郎の一家の秘密が明らかに。
兄である雄一郎(須藤工作)は海外留学中となっていたが、実は引きこもりで。両親が世間体しか考えず、あろうことか健次郎にもその秘密を隠していたのだ。
そのことを知った金八は健次郎の両親に「親の嘘に付き合わされて、この子は1秒1分たりとも心の休まる暇がなかったんです!」と健次郎の心を代弁するも両親には届かず……。そして健次郎は最終的に、兄・雄一郎と母親が揉み合いになったのを止めようとした際、誤って母親を包丁で刺してしまう。

健次郎のその後


健次郎は釈放されたが、家裁審判が卒業式の3日後となったことで、卒業式への出席を見送らざるをえず、校長室で1人卒業証書を受け取ることに決まった。
しかし卒業式当日、健次郎1人の卒業式が始まろうとした時、健次郎は「10分だけ時間をもらえないでしょうか」と言って校長室を飛び出した。
そして健次郎が3Bの教室入ると、3B全員が健次郎を待っていたのである。涙ながらに謝罪する健次郎は最終的に他のチームメイトと和解できたのだ。

ちなみにその健次郎はストレートで東大に進学し、金八と同じ教師の道に。そしてその後のシーズンにも登場し、桜中学に大きな問題が起きる度に力になろうと尽力していく。
(篁五郎)

※イメージ画像はamazonより3年B組金八先生 DVDBOX 第2シリーズ [DVD]