ちなみにレコード大賞授賞式の際、余程気分が良かったのか、桑田は「ひばりさんの背中が見えました」とのコメントを残しています。歌謡界の女王を射程圏内に捉えたとはかなり大胆な発言ではありますが、この『TSUNAMI』の大ヒット以降、明らかに桑田の立ち位置は変わりました。
出す曲はサザン名義だろうが、ソロ名義だろうが概ねヒット。音楽番組にゲストで呼ばれれば、もともと90年代以降は大御所的ポジションではあったものの、さらに一段上のクラスとして扱われるようになった感があります。浜崎あゆみ、aiko、平井堅など、当時若い世代に人気のあったミュージシャンが、こぞってファンだと公言し始めたことも、そのブランディングに貢献したのは間違いありません。そう考えると「ひばりさん発言」は的を得ていたように思われます。
『TSUNAMI』以前の2年ほどは低迷していたサザン
しかしこの『TSUNAMI』以前、90年代最後の2年辺りはセールス的に低迷していました。きっかけとなったのは、1998年に開催した静岡県・浜名湖畔「渚園」ライブでのこと。