邦画の中には、ハリウッド映画にはない日本人独特の感性が生きる映像や音楽などを表現した作品も数多い。その中でも有名なのは、1996年に公開された「スワロウテイル」だ。


豪華な出演者も話題になった「スワロウテイル」


監督は「Love Letter」(1995年公開)で高評価を受けていた岩井俊二。「スワロウテイル」は映画化以前に、岩井自身が小説として発表していた作品だ。
主演には歌手のCHARAを迎え、その他の出演者も三上博史、江口洋介、山口智子、桃井かおりなど、豪華キャストを揃えた。

劇中歌も大ヒット!


「スワロウテイル」では、音楽面をサザンオールスターズやMr.Childrenのプロデューサーを務めていた小林武史が務めた。その影響もあり、劇中歌も大きな話題に。
「スワロウテイル」で内で結成された架空バンド「YEN・TOWN・BAND」は1996年にCDシングル「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」を発売したオリコンチャート1位を獲得している。


「スワロウテイル」の高い評判


最終的に「スワロウテイル」は興行収入は6億円となり、大ヒットといえる数字を残せなかった。しかし、1996年日本アカデミー賞優秀賞を受賞するなど、当時から映画関係者から評価され、公開から10年経った今でも「色褪せない」作品という声も多い。
「ハゲタカ」の監督大友啓史は「普遍性とは違う未完成な危うさ、少年性にまつわる映画」と評価し、吉本ばななは「こういう映像が撮りたい! という人はゴマンといるが実際に撮れる人は一握り。岩井俊二とはそういう人」と絶賛している。

岩井俊二という映画監督は好き嫌いが分かれる監督ではあるが、間違いなく常に新作を観てみたいと思わせる映画監督の一人だろう。
(篁五郎)

※イメージ画像はamazonよりスワロウテイル [DVD]