
『サクセス』とは、オリジナル選手を育成するモード。一定期間(舞台が高校だったり大学だったり、会社だったり)に練習、試合を通じて選手を強化していく。
彼女を作り、練習そっちのけでデートを重ねイチャイチャすることも可能(もちろん色事にうつつを抜かした分だけ、練習の機会は減り、強い選手は作りにくくなる。異性に溺れながらクリアできるかはプレイヤーの腕次第)。
パワプロとは似て非なるゲーム・パワポケ

20年の歴史の中で派生し、潰えてしまったアナザーシリーズがある。パワプロクンポケット(以下略・パワポケ)である。スーパーファミコンやNINTENDO64などの据え置きハードでやるパワプロとは対照的に、パワポケはゲームボーイやDSなどの携帯機でやるゲーム。
初代パワポケが発売されたのは1999年4月。当時、筆者は小学4年生だった。
「やった! これでゲームボーイでもサクセスができるぞ! (女の子ともデートできるぞ!)」
パワプロ同様、パワポケでも彼女をつくり、キャッキャウフフすることができる。しかし、パワプロとの決定的な違いに、ゲームボーイを操作する指を止めてしまった。
「たいへんよ! 主人公(仮名)君!」
「どうしたんですか? ようこ先生。
「明日香ちゃんが! 明日香ちゃんが、「きとく」だって!」
「(ガーーーン!)えーー!! こんなところにいる場合じゃないや! 俺、病院に行く!」
「まって! 試合はどうするの! 明日は、甲子園の決勝よ! 今から行けば、明日の試合には間に合わなくなるわ。主人公(仮名)君がいないと試合にならないわ。」
「だって、明日香が死んじゃうのに試合なんかしてられないよ!」
「主人公(仮名)君の気持ちはわかるけど、まだ、死ぬと決まっていないわ!」
「どうしたらいいんだ・・・」
A 病院に行く
B 決勝戦にでる
悩んだ末、Bを選択してしまった。
プレイヤーの選択、試合結果次第で彼女が死んでしまう展開が数多く用意されているパワポケ。全15のシリーズで総勢90人の彼女候補が登場するが、そのうち3割近くのキャラに死亡ルート(他殺、交通事故、病死など)が用意されている。
小さな子どもでも楽しめるパワポケ
デート後の背景がホテルの外観だったり、「?ビデオ」を入手・視聴してやる気をあげたりする主人公。しかし、パワポケは全シリーズ全年齢対象のゲームとされていた。

『子供は死を理解していない。人間が死ぬということを知っていてもそれがどういうことかわかっていない。なんとなく自分も周りの人たちもいつまでも生きていると思っている。そんな子供たちも、親しい人を失っていくうちに、理解していくことになる。永遠などなかったのだ、ということを。』
パワポケ13、ある登場人物の死亡エンディング。
パワプロはパワポケほどシリアスな展開にはならない。今回発売されるパワプロ2016でも涙を流すことは多分ない。女の子キャラが死ぬことはこれまで一度もなく、男キャラが死ぬこともほとんどなかったからである(主人公の相棒で眼鏡をかけている男、矢部くんがあるモードで死んでしまうことは時々あった)。
(山川悠)