しかし、「そんなことが通用していた」時代があったのもまた事実。90年代にはテレビ東京系の『ギルガメッシュないと』が牽引役となり、「深夜エロ番組」ブームが巻き起こっている。
以前、『ギルガメ』を始めとするテレビ東京系の深夜エロ番組を紹介(「伝説のテレ東深夜のエロ番組 パンチラ乱舞にAV紹介まで!?」)したが、今回はその他の局による深夜エロの代表番組を紹介したい。
日本テレビ『爆発!なべしま部屋』(1992年)
「なべしま」の「なべ」はコント赤信号のリーダー、渡辺正行。「しま」は“アダモちゃん”ことヒップアップの島崎俊郎。当時にしても微妙な立ち位置の2人がハイテンションで司会を務めていた番組だ。
そのテンションの原動力となった企画が「Tバックじゃんけん」。Tバックを履いた2人の女性が後ろ向きに立ち、お尻でじゃんけん。審判が2人の間に仰向けに寝転がり判定するというもの。突き抜けたバカバカしさがたまらない。
フジテレビ『殿様のフェロモン』(1993年)
伝説の深夜番組『オールナイトフジ』からエロ要素だけを完全抽出した番組。『とぶくすり』から『めちゃイケ』までの流れに位置する深夜バラエティなので、若手時代のナイナイやよゐこたちも出演していた。
特に過激だった企画が通称「ハケ水車」。正式には「快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズ」。
司会の今田耕司と中山秀征が明らかにギクシャクした関係だったり、極楽とんぼの加藤浩次が楽屋でAV女優に「○○○」をさせていたり、ブレイク前のシャ乱Qがエンディング曲の売り込みに来ていたり、同じくブレイク前の常盤貴子が司会だったりと、お宝度は一際高い。
日本テレビ系『ロバの耳そうじ』(1994年)
当初は『どんまい!!スポーツ&ワイド』のコーナーだったが、大反響により独立。
真面目なキャスター然としたローバー・美々が大股開きで披露するパンチラニュースと、ビキニ姿のチチダスMIMIが「チチダス チチダス プルルルル~ン」の呪文とともにバストをあらわにする天気予報で人気だった。しかも、チチダスMIMIは各地に出向いてレポートする構成。実におおらかな時代である。
テレビ朝日系『ネプいっ!』(1998年)
ネプチューンの3人がタクシーの中で女の子相手にエロトークを繰り広げる「ネプタク」と、原田泰造が女の子を巴投げしてパンチラを見せる「ネプ投げ」がメイン。特に、様々な技を駆使してパンツをあらわにしていくネプ投げは大反響を呼んだ。
途中『おネプ』と改題リニューアル、2001年3月まで続く人気番組となったが、「ネプ投げが不愉快。セクハラ、女性蔑視につながる。中高生に悪い影響を与えることも心配」との声が現在のBPO(放送倫理・番組向上機構)に当たる組織に寄せられ、コーナー自体は打ち切りの憂き目にあっている。
世間では「女性差別」「若者をバカにしすぎ」の声がすでに高まりつつあった。20世紀の終焉とともに深夜エロ番組のブームも収束していったのである。
ちなみに、この意見に対するテレビ朝日の回答はこちら。
「制作側としては、このコーナーはネプチューンと自らの意思で出場する素人との共演コーナーであり、そういう意味において、これが女性蔑視、セクハラにつながるとは考えておりません」
パンチラシーンをスローでリプレイする念の入れようだったのに、ちょっと無理ありすぎかも……。
(バーグマン田形)
※イメージ画像はamazonより上を向いて歩いていこう Maxi