BDシリーズ全5巻のうちの4巻。本編98分、特典映像151分なので、テレビ放送を見た人でも間違いなく楽しめる
今回はタイトルの通り、「VRDK(バカ編)」と「仲良しメンバーと厳選食材でカレーを作ろう(前後編)」が収録されている。
人狼+カレー作り?
まずは「仲良しメンバーと厳選食材でカレーを作ろう」から。伊集院光の映像作品には、伊集院考案のゲームがよく登場する。今回のルールは、以下の通り。
・一人一つの食材(箱に入っている)を持つ
・脱落者を決めるチェックポイントが3回ある
・チェックポイントでは誰にも見られないように食材を見て、みんなに発表する
・追放投票を行い、獲得票数上位3名が追放される
・残った食材は生き残りの間でシャッフルをして、次のチェックポイントへ行く
・最終的に残った食材でカレーを作って食べる
食材にはカレーに適したもの(ジャガイモやニンジン、肉など)から、カレーに適していないもの(たくあんなど)、絶対に必要ないもの(カレーの食品サンプルなど)まで多岐にわたる。もちろん、食材は自分しか見ないため、嘘をついてもいい。本当は食品サンプルなのだけれども「私の食材は、お肉です!」と言ってもいい。追放された人は、以後テレビには映らず、カレーも食べることができない。
このゲームに挑戦するのは若手芸人14人。ブッチャーブラザーズのぶっちゃあ、ほたるゲンジの桐畑トール、オテンキの3人、埼京パンダースの河野かずおとガーユー、だーりんずの小田祐一郎、ANZEN漫才のみやぞんとあらぽん、ジャスティス岩倉、ちくわまんなどだ。
若手芸人達はどうしてもテレビに出たい。NG食材を持っていても、他の人を蹴落としてでもテレビに出ようとする。その結果、自分で自分の首を絞めてしまう。なぜなら、自分がNG食材を持っているということは、相手がいい食材を持っているということだから。相手を蹴落とすということはいい食材を失い、NG食材のカレーを自分で食べることに一歩近づいていく。
また、本当のことばかり言っていればいいというわけではない。カレーにあってもいいけれども、なくてもいい食材があたった場合。正直に言っていても「あれはいらないわけではないけれども、重要な食材を守るためにこっちを落とそう」となってしまう。
このあたりの駆け引きが、人狼ゲームのいいところをカレー作りと融合させた、ルールの肝といえる。たとえば「肉」と言った人が2人でた場合。少なくとも嘘をついた方は、相手が本物の肉を持っているということがわかるので、相手に投票することは肉を失うことを意味する。
1回戦ではどんな食材があるのか把握できないが、だいたいどういう食材があるのかわかった2回戦以降では、このことを理解している人と理解していない人とで追放投票の投票の仕方が違うところに注目したい。
ちなみに特典映像の一つは、伊集院自らがこういった見所を全て解説しながら本編を同時に見ていくという、「大反省会」だ。一度本編を見てから見ると、どういうところに注目した方がいいのか、ルールの肝も含めて詳しく説明を聞きながらもう一度楽しむことができる。
ヴァーチャルリアリティでドッキリ
もうひとつの企画「VRDK(バカ編)」は、ヴァーチャルリアリティドッキリの略。360度カメラであらかじめ撮影した映像を、VRゴーグルを装着した被験者に見せて、実際には起きていないことが目の前で起こっているかのように錯覚をさせる。最終的に、VRゴーグルを外した被験者が、こういうことが起きていると思っていた現実とは違う光景が目の前に広がっていて、びっくりしたら成功だ。
(バカ編)とあるのは、前巻が疑うことを知らないピュア編として、三田寺理紗が被験者だったのに対して、若手芸人イマニヤスヒサが被験者だから。
イマニは、過去の伊集院考案のいわゆる人狼的なゲームにおいて、毎回序盤で追放されてしまう。人を責めているときに、つい「それは演出だから」といらないことを言ってしまうからだ。1回や2回ではなく、毎回この調子で、集中砲火を浴びている。相当な「バカ」なのだ。
また、あふれんばかりのスケベ心も見せる。
バカでスケベ。その能力が被験者として買われたのだろう。そして実際に、ヴァーチャルリアリティは人をここまで信じ込ませてしまうのか、という期待以上のリアクションとなる。
特典映像としては、三田寺理紗にVRアトラクションを体験してもらう、VR特別編。このメイキングと、実際に体験しているさまが収録されている。
実は、今回のBDの初回3000枚には、このVR映像をダウンロードできるシリアルコードがついている。iPhoneやAndroidでハコスコアプリをインストールし、限定動画をダウンロードすることで同じような体験ができるのだ。実際にやってみたけれども、これは再生するときにハコスコDXなどの再生箱を欲しいと強く感じた。臨場感はかなりのものだ。
おそらくBDシリーズでの最高傑作
もともと伊集院はラジオでも「ある程度ルールを作ってゲームをやらせても、その中からはみ出てくるようなことをしてしまう人がいる。そういう人がたまらなく好き」と言っている。
今回、大幅にはみ出る人が2人いた。ANZEN漫才みやぞんと、ジャスティス岩倉だ。二人ともカレー作りに参加するが、ルールが全く理解できていない。
みやぞんは、好きな戦国武将はと聞かれた際に「ヤマタノオロチ」と答えるほど、しっかりとした受け答えができない。おそらく「みなもとのよりとも」のように、○○の□□が戦国武将と考え、その結果何とかしぼり出したのが「ヤマタノオロチ」だったのだろう。このピントのハズレっぷりが、人狼的なゲームでどう働いたのか。
ジャスティス岩倉は、200キロのベンチプレスを持ち上げる、一分間フライパン曲げ世界タイ記録保持者の筋肉芸人だ。元自衛隊で、芸名にジャスティスとつけるほど正義を愛しているため、本当に嘘がつけない。そのため、人狼でいったら「私は人狼です」といきなり言うような事件を起こしてしまう。彼らが本編でどのような大暴れを見せたか、是非見て欲しい。
伊集院本人も、今までに収録したテレビシリーズの中で一番笑ったという今回の企画。おそらくは、今回のBDシリーズ全5巻の中でも最高傑作といえるだろう。特典映像をダウンロードできる、初回3000枚のうちに購入したいところだ。
(杉村 啓)