突然だが、ある小話をひとつ。
カリフォルニアロール。
筆者が住むベトナムには、三年ほど前から続々と、日本でもお馴染みのチェーン店が進出してきた。丸亀製麺、吉野家、牛角。それに、飲食店ではないがファミリーマート、日本資本ではないがマクドナルドなど。ここで進出時に欠かせないものが、さきほど述べた「ローカライズ」である。
現地に暮らす日本人ではなく、ベトナム人の舌の上こそが味の行き先。オリジナルの良さを軸に置きつつ、現地で受け入れられる味に変えていく。今回は、ベトナムに進出している日本食チェーン店のユニークなローカライズ、4つの事例をご紹介したい。
丸亀製麺は、最初にベトナムへ進出した日系飲食チェーンのひとつ。「うどん」は以前から日清食品が同名のインスタント麺を販売していたことにより認知度は高く、またベトナムは多様な麺料理を常食していたことから受け入れられやすくはあっただろう。一見するとあまり目立ったローカライズはしていないように見えるが、ここのトッピングコーナーにはなんとパクチーが置いてある。
現地の麺料理には香草を入れることが当たり前で、パクチーもそのひとつだ。
丸亀製麺はそのほか、「MARUGAME」ではなく「MARUKAME」と表記したり(「ゲーム(GAME)」との混同を避けるため)、ベトナムの麺料理に合わせてあえてコシを弱くしたりと、節々に工夫が潜んでいる。
コンビニには現地の商品が置いてあると思われるだろうが、日本と共通したものもある。肉まんやホットスナック、そしておでんだ。このおでんの汁が、辛い。風味は酸味を引いたトムヤムクンという印象で、現地で食べられる鍋のスープをベースに調整を加えたもの。具材そのものは、ウィンナーやゆで卵に魚の練り物など、日本と大きな違いはない。
そのほか、陳列されているおにぎりにも「ホットポット(鍋)味」があったりなど、ベトナム人のコンビニユーザーには鍋のスープ味がヒットしているらしい。
日本に拠点を置く焼き肉チェーンとして唯一の牛角は、ほぼ日本のメニューに寄せているが、その中で異彩を放つものがある。それは「豚のおっぱい」。いきなり斜め上だと思われるかもしれないが、焼き肉自体はベトナム(とくに南部)でポピュラーな料理であり、豚のおっぱいはその人気メニューなのだ。
もっと厳密に言うと、本当に有名なものは「ヤギのおっぱい」ではあるのだが、半年ほど前に「ヤギは価格が高いので豚を使っている店がほとんどだ」と報道されて明るみになったところであり、牛角ではそこを正直に販売しているということになる。
最後に、日本食ではないが、日本でも馴染み深いということでマクドナルドも紹介。タイやハワイでも有名だが、ベトナムにも「ご飯もの」のメニューがある。現地ではコムと呼ばれ、とくに南部では日常食だ。
注文したものは、「Com Thit heo nuong & trung op-la」、要するに「ご飯と焼いた豚肉と目玉焼き」。名前の通りの具材と、キュウリとトマト、そして甘じょっぱいソースが付いている。ただ、豚肉といってもハンバーガーと共通のものなので、バンズがご飯に変わったようなものだと言って良いかもしれない。
これはベトナムに限らず、外国である以上は何らかの工夫が為されているはず。海外旅行に行く先で、もし日本のチェーン店があれば、あえて行ってみるのもおもしろいかもしれない。現地の店へ行く以上に、きっとその国のことが理解できることうけ合いである。
(ネルソン水嶋)
カリフォルニアロール。
今は日本でも食べられる、アメリカから逆輸入された寿司料理だ。一般的な巻き寿司と違って海苔が外側ではなく内側に巻かれてあるが、これは海苔を気味悪がったアメリカ人に食べてもらうための工夫がはじまりという。そうして現地に合わせて工夫する行為、これは「ローカライズ」と呼ばれる。
世界各地に広がる日本食とローカライズ
筆者が住むベトナムには、三年ほど前から続々と、日本でもお馴染みのチェーン店が進出してきた。丸亀製麺、吉野家、牛角。それに、飲食店ではないがファミリーマート、日本資本ではないがマクドナルドなど。ここで進出時に欠かせないものが、さきほど述べた「ローカライズ」である。
現地に暮らす日本人ではなく、ベトナム人の舌の上こそが味の行き先。オリジナルの良さを軸に置きつつ、現地で受け入れられる味に変えていく。今回は、ベトナムに進出している日本食チェーン店のユニークなローカライズ、4つの事例をご紹介したい。
ベトナムの!丸亀製麺はトッピングにパクチーがある

屋号は分かりやすく、「製麺」ではなく「うどん」だ。
丸亀製麺は、最初にベトナムへ進出した日系飲食チェーンのひとつ。「うどん」は以前から日清食品が同名のインスタント麺を販売していたことにより認知度は高く、またベトナムは多様な麺料理を常食していたことから受け入れられやすくはあっただろう。一見するとあまり目立ったローカライズはしていないように見えるが、ここのトッピングコーナーにはなんとパクチーが置いてある。

右のタッパーにパクチーがこんもりと。右下の唐辛子にも注目。
現地の麺料理には香草を入れることが当たり前で、パクチーもそのひとつだ。
日本食とはいえ、うどんも麺料理の一種である以上、普段食べるものに寄せていくことはとても分かりやすいローカライズ。トッピングの量に制限はないと聞いたことがあるので、日本のパクチー好きの方にとってはユートピアかもしれない。ただし、今でもそうかは分からないため、怒られても責任は持たない。

釜揚げうどん(約200円)にパクチーをザーッと!

水炊きに入った春菊のようになった。
丸亀製麺はそのほか、「MARUGAME」ではなく「MARUKAME」と表記したり(「ゲーム(GAME)」との混同を避けるため)、ベトナムの麺料理に合わせてあえてコシを弱くしたりと、節々に工夫が潜んでいる。

カレーもあります。
ベトナムの!ファミリーマートのおでんの汁は辛い
コンビニには現地の商品が置いてあると思われるだろうが、日本と共通したものもある。肉まんやホットスナック、そしておでんだ。このおでんの汁が、辛い。風味は酸味を引いたトムヤムクンという印象で、現地で食べられる鍋のスープをベースに調整を加えたもの。具材そのものは、ウィンナーやゆで卵に魚の練り物など、日本と大きな違いはない。

吊り下げ式POPのアイドルは、橋本環奈も所属する「Rev. for TEENZ」の派生ユニット。

真っ赤なおでん、糸こんにゃくらしきものは現地でよく食べられるブンという米粉麺。
そのほか、陳列されているおにぎりにも「ホットポット(鍋)味」があったりなど、ベトナム人のコンビニユーザーには鍋のスープ味がヒットしているらしい。
ベトナムの!牛角には豚のおっぱいがある
日本に拠点を置く焼き肉チェーンとして唯一の牛角は、ほぼ日本のメニューに寄せているが、その中で異彩を放つものがある。それは「豚のおっぱい」。いきなり斜め上だと思われるかもしれないが、焼き肉自体はベトナム(とくに南部)でポピュラーな料理であり、豚のおっぱいはその人気メニューなのだ。

もっと厳密に言うと、本当に有名なものは「ヤギのおっぱい」ではあるのだが、半年ほど前に「ヤギは価格が高いので豚を使っている店がほとんどだ」と報道されて明るみになったところであり、牛角ではそこを正直に販売しているということになる。
実際、固めの豚トロのようで美味しい。
ベトナムの!マクドナルドにはご飯がある
最後に、日本食ではないが、日本でも馴染み深いということでマクドナルドも紹介。タイやハワイでも有名だが、ベトナムにも「ご飯もの」のメニューがある。現地ではコムと呼ばれ、とくに南部では日常食だ。

ホーチミン市内唯一の店舗はスタイリッシュ。

お姉さんの頭に隠れている…

こちらがCOMのメニュー。
注文したものは、「Com Thit heo nuong & trung op-la」、要するに「ご飯と焼いた豚肉と目玉焼き」。名前の通りの具材と、キュウリとトマト、そして甘じょっぱいソースが付いている。ただ、豚肉といってもハンバーガーと共通のものなので、バンズがご飯に変わったようなものだと言って良いかもしれない。

パッケージはオシャレ!

味については、現場でお確かめください。
海外旅行先で、日本食チェーンに行ってもおもしろいかも!?
これはベトナムに限らず、外国である以上は何らかの工夫が為されているはず。海外旅行に行く先で、もし日本のチェーン店があれば、あえて行ってみるのもおもしろいかもしれない。現地の店へ行く以上に、きっとその国のことが理解できることうけ合いである。
(ネルソン水嶋)
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