→1入門編
「課題図書とかダリィダリィ でも昼間のポケGOもぶっちゃけキツイ かますためには必要なスタディ このネットスクールはフリーですって」
昨日に続きまして、日本語ブックの紹介の続き。ちょっと番組から離れたちょい深めのヒップホップダンジョンを探検してみよう。
夏休みの課題図書5『ヒップホップの詩人たち』(都築響一、新潮社、2013年)

いま詩はどこにあるのかという問題意識から圏外編集者、都築響一が様々なフィールドを取材して『夜露死苦現代詩』という1冊になった。『ヒップホップの詩人たち』はそこから発展、特化したバージョンだ。15人のラッパーたちのリリックとロングインタビューで構成されている。ここに収録されているリリックは本来、ビートに乗ってラップされるものなのだけれど、それをあえて縦書きの現代詩として読む。瞬発力が魅力のフリースタイルとは異なり、それぞれの人生と生活の中からドロリと溢れ出た言葉の塊は濃厚だ。特設サイトで音源も聞くことも出来る。ぼくのお気に入りは志人。吸引力が強すぎて、怖くもある。どうしても正体が知りたくなり何度かライブに足を運ぶようになった。
夏休みの課題図書6『丸屋久兵衛が選ぶストレイト・アウタ・コンプトン』の決めゼリフ』(丸屋久兵衛、SPACE SHOWER BOOKs、2016年)

まずは映画を観てくれ! 『ストレイト・アウタ・コンプトン』はアメリカ西海岸を代表するギャングスターラップグループ「N.W.A」の伝記映画。装甲車が壁をぶっ壊して家の中に突入してくる、そんなデスロードから脱出し、ショービジネス界に飛び込むと光があるし闇がある。マネージャーやレコード会社とは金で揉める。
母「子持ちのクセに、レコード回して遊んでるなんてエエ根性やな」
ドレー「なにゆうてんねん、ちゃんとカネもろとるがな」
母「50ドルくらいで、なに喜んでんねん! アホちゃうか」
ドレー「ここからステップアップしますがな~」
このノリで再び映画を観ると印象ががらっと変わるのでおもしろい。さらに映画は近しい過去を描くという性質上、どうしても美談仕立てになってしまう。しかし実際のとこはどうだったのか? それを丸屋は豊富な知識と資料を元に紐解いていく。緻密な検証の果てに行き着いたラストフレーズ。
「イージー、むっちゃ好きやで」
おぉ……。
夏休みの課題図書7『ブラック・ノイズ』

この書物こそがダンジョンの最深部にして財宝そのもの。ブロンクスにおけるヒップホップ誕生の瞬間を社会学者である黒人女性が証言。著者は、黒人が受けてきた不当な差別を拒絶するため、「メロディー」を西洋文化の象徴として否定した。それが棒読み歌唱という独特な音楽表現を生んだと考察する。他にも、押韻の追求は反復される単調なビートに、ライムとフロウで別のリズムを重ねグルーヴを生む発明だった。また、使用する単語を制限しつつイメージを転化し発展させていくことは、当時のブラックパワームーブメントを芸術として表現したものだ、と興味深い考察が並ぶ。こうした当時の現場の熱量が時空を超え『フリースタイルダンジョン』に直結していることは間違いない。多くのインスピレーションを与えてくれる魔法の書だ。ただし絶版につき入手難易度は高め。電子版など当然ねえ。
(飯田和敏)
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