「桃の天然水」ヒットをもたらした華原朋美の「ヒューヒュー」


「桃の天然水」は1996年、350ml缶で発売され、翌年500mlのペットボトルで発売されたが、売り上げはふるわなかった。そんな「桃の天然水」が一躍ヒットするきっかけとなったのが、華原朋美の存在だった。
1998年当時、若者から絶大な人気を誇っていた歌手・華原朋美。
彼女がCMに起用されたことにより、「桃の天然水」は爆発的に売れ始めた。CM内でのキメゼリフだった「ヒューヒュー」は流行語に。商品は年間1600万ケースという異例の売り上げを記録し、「桃水(ももすい)」「桃天(ももてん)」の愛称で親しまれた。
以後、「りんごの天然水」「桃の天然水ソーダ」「青りんごの天然水」「マスカットの天然水」「ライチの天然水」「桃の天然水ゼリー」「ぶどうの天然水ゼリー」……など、シリーズ商品も次々と発売される。

異物混入騒動、華原朋美の休養騒動、売り上げの低迷……


しかし1998年、ペットボトルの一部ロットにカビが混入するという回収騒ぎが起こり、イメージが悪化してしまう。また、その頃から緑茶をはじめとする無糖飲料が主流になっていったこともあり、「桃の天然水」の売り上げは下降していった。

さらに、1999年に華原が休養騒動に追い込まれ、CMからも降板することとなる。
代打として起用されたのは、人気絶頂の歌手・浜崎あゆみ。キュートなイメージを打ち出し、「新Hyu-Hyu大作戦」と銘打たれたプレゼントキャンペーンが行われるなど、売り上げ向上が図られた。その後もアイドルやモデルなどがCMキャラクターとして起用されたが、2002年以降、売り上げの低迷によりCMはしばらく打ち切られてしまった。

リニューアル、原点回帰、そして華原朋美の復帰と三度目の休養


その後、味・パッケージのリニューアルが図られ、売り上げ増加が試みられたが、成果はなかなかみられなかった。そんな中、発売から10周年を迎えた2006年、発売当初の味やパッケージに戻した復刻版の「桃の天然水」が発売される。
これに伴い、8年ぶりに華原朋美がCMに再起用される。
1998年当時のCMを織り交ぜた映像はちょっとした話題をさらった。しかし華原朋美は体調不良などから、2007年から三度目の芸能活動休止期間に入ってしまう。

2013年から放映された久しぶりのCMには、モデルのローラが起用される。90年代当時を知らない世代には、桃の天然水のCMといえばローラのイメージが強いかもしれない。

そして2015年、日本たばこ産業(JT)から飲料部門撤退の公式発表がなされ、2015年9月をもって「桃の天然水」はJTからの販売が終了となったが、サントリーにブランドを取得され、再発売される見通しが立った。
今も根強いファンの多い「桃の天然水」。他のフレーバー水に負けず、今後の人気にも期待したい。
(空町餡子)

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