元俳優の高知東生が、覚醒剤取締法違反で逮捕されておよそ2カ月が経った。現在高知は保釈され判決を待つ状態であり、妻であった女優の高島礼子とは離婚も成立した。


逮捕を受けて世間では、ドラッグ仲間であった不倫相手の存在や、芸能界引退の理由とされた義父の介護実態がほとんどなかったことなどが問題視されている。犯罪行為はもちろん、高知を人間としても許せないといった批判が向けられているのだ。

高知東生の「違った顔」


だが、過去をさかのぼれば高知の違った顔も見えてくる。『SPA!』(扶桑社)1997年10月29号では“ボクらの内なる「高知東急ゴコロ」を解放せよ!”なる特集が組まれている。(高知東生は1998年、東急電鉄の訴えにより芸名の改称を余儀なくされた後の芸名であり、当時は高知東急名義)

この頃の高知は俳優としてはほぼ無名だったが、女優の高島礼子との交際が発覚し、あいだもも、井上晴美、かとうれいこ、宮崎ますみといったいわゆる“イイ女”を次々と籠絡していた。そんな“男に対する怒りと嘲笑と羨望の意味を探る”のが特集の骨子だ。

気になる特集の中身は?


本文では“高知東急ゴコロ”の定義として以下の3つがあげられている。

1.仕事ではなく女で目立つ
2.彼女ができるとスグはしゃぐ
3.ムリめの女にもひるまない

特に2に関しては、高知が高島との交際発覚時に発した言葉、「大好きです。めちゃめちゃハッピーです。一緒にいてすごく楽しいし、自然体でいられる」が、本人の顔写真に付いた吹き出しとして何度も引用されている。
今から見れば「こんなにイジっていいの?」という内容であるが、チャラいけど憎めない当時の高知の立ち位置を現しているともいえるだろう。

また、特集では精神科医の香山リカとコラムニストの神足裕司による対談も行われている。神足は“芸能人でなにがつらいって時間がないんですよ。30分空いているときにぱっと来る男が欲しいわけですよ。
それが高知なの”と、彼のマメさを評価する。
対する香山も、高知を“女版飯島直子”に例え“近代人って自分を相対化しちゃって自分を外から見たりするでしょ。それがないんでしょうね、彼は。相対化する能力とか自分を見つめる目だとか”と天然ぶりを指摘していた。

高知東生の人間性を浮き彫りに!?


この特集は本人不在のものであるが、それなりに彼の人間性を浮き彫りにしているように思える。実際、50歳を超えた高知は逮捕時は、33歳の女性とラブホテルにおり、“仕事も地位もないのになぜだかモテる”状態をキープしていたわけで、特集の内容は示唆的だ。

現在の『SPA!』は、ワーキングプアや格安性風俗などを取り上げる下流サラリーマン向けの雑誌になっているが、90年代は、このように少しヒネた視点から社会をとらえる特集が多く組まれていた。高知から男女関係を読み解くあたり、『SPA!』らしいセンスにあふれていると言えよう。
(下地直輝)
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