そもそもSMAPというグループ名は「Sports Music Assemble People」の略称と言われている。直訳すれば、スポーツと音楽のために集まった人々だ。事実、SMAPの核には音楽とともにスポーツがあった。
SMAPの知名度を一気に向上させた企画
SMAPの知名度を一気に向上させたスポーツ企画は、1993年に放送された『新春かくし芸大会』(フジテレビ系)の生放送において行われた空手パフォーマンスだろう。
メンバーそれぞれが瓦割り、氷割り、板割りなどを披露したのだが、極めつけは森且行によるバット折りである。プロでも難しいといわれる技に挑戦し、一度目こそ失敗し、足を痛めながらも二度目にして見事成功した。
このパフォーマンスで、初の満点を獲得したSMAP。空手指導のスタッフとともに、涙を流し成功を喜ぶ場面は多くの視聴者の感動を呼んだ。そして「ただのアイドルではないガチンコのSMAP」が印象付けられるきっかけとなった。
『夢がMORIMORI』でのキックベース
もう一つ外せないSMAPのスポーツ企画といえば、1992年4月にはじまった『夢がMORIMORI』(フジテレビ系)における「スーパーキックベース」だろう。これはサッカーボールを使用して野球に準じたルールで行う競技である。この企画でも森且行が毎回ホームランを連発し、大活躍した。
『夢がMORIMORI』のタイトルは、当時バラエティアイドルとして活躍していた森口博子、イケメン芸人として名を馳せていた森脇健児、さらにSMAPのメンバーであった森且行の頭文字を取ったものである。
飛び抜けた能力を発揮していた森くん
森且行は1996年5月にオートレーサー転身のためSMAPを脱退するが、それまではメンバー内では飛び抜けた能力を発揮していた。
森は運動能力、歌唱力、演技力のすべてをそろえた非の打ち所のない存在であっただけに、脱退が痛手となったことは確かだろう。
空手とキックベースという2つのスポーツ企画は、90年代初頭におけるSMAPの活躍の原点だ。
(下地直輝)