昨年、古館伊知郎が報道ステーションを降板した。彼の最後の出番となった3月31日の放送終了後は、新聞各紙やネットニュースでこぞってこの話題を取り上げられた。

同番組の放送開始以来、10年以上にわたりメインキャスターを全うしたとなれば、降板の一件が大きなニュースとなるのも頷けるところだ。

報道ステーションの前番組となる「ニュースステーション」の最終回も当時大きな話題となり、同日中にもかかわらず、他局の「筑紫哲也 NEWS23」(TBS系列)内で紹介されたほどだった。

ニュースステーションと久米宏


「ニュースステーション」のメインキャスターを務めたのは、久米宏。19年もの間、キャスターを務めていたが、「加齢によって言葉を噛むことが多くなった」ことなどにより、降板を決意したという。
そんな久米であるが、「ニュースステーション」10周年の感想を聞かれた際、こんな発言もしている。

10周年で語った久米宏の本音


久米は、「僕にとってテレビで生放送の帯番組をやるというのが、初めての経験だった。始まって1ヶ月くらいの時に、想像以上に疲れるものだと思った。そんな番組を10年やるというはちょっとね」と生放送での苦労を伺えるような一面を見せた。

さらに、久米は「番組が怪物のように大きくなった。僕も含めてスタッフが番組の方に振り回されている感じがする。(略)いつの間にか立派で難しい番組になってしまった」と当時の現状に、必ずしも満足していないことも打ち明けていた。ニュースステーションはその9年後に終了することとなるが、最後までこの状況は変えられなかったのかもしれない。

奇しくも古館も、より娯楽の方向性を目指したにも関わらず、報道番組という縛りもあってか「不自由な12年間だった」と降板会見で報道ステーションを振り返っている。


ちょっとしたことでもすぐにクレームが来てしまう昨今。特に報道番組ということになると、その中で自由に立ち振る舞うということは難しいのだろう。
(ぶざりあんがんこ)

※イメージ画像はamazonより久米宏の素朴な疑問 (1979年)
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