伊集院光といえば知的な"デブタレ"という印象があるが、そんな彼が90年代に過酷なダイエット企画に挑戦していたことはあまり知られていない。

伊集院光のダイエット企画


ダイエット企画は、彼がレギュラーを持っていたラジオ番組『伊集院光深夜の馬鹿力』(TBSラジオ系)の中で、1996年の11月から、翌97年の3月末にかけて行われた。

きっかけは伊集院がスタッフとの雑談の中で、かつてレギュラーを持っていたニッポン放送のオーディションを受ける際、ネタとして体重を同局の周波数と同じ124.2キロに合わせて行ったと発言したこと。
ならば、今はTBSラジオ(周波数954kHz)でレギュラーを持っているのだから、体重を95.4キロにすべきとなり、ダイエット企画が始動したのだ。
企画名は「ダイエットキング95.4略してDK-95.4」。これは伊集院光が所属するホリプロが、96年に売り出し、大失敗したバーチャルアイドル「伊達杏子 DK-96」になぞらえたものである。

きゅうり2本…伊集院光の過酷ダイエット


当時、伊集院の体重は144.6キロ。実に半年間でおよそ50キロを落とさなければならず、毎週の生放送時に体重測定が行われる過酷な企画だった。
当初は食事量を減らし、さらに水泳などの運動を重ねることで順調に体重を落としていった伊集院。もともと太っていた人がダイエットに挑む場合、最初は順調である。だが、途中から体重が落ちなくなり、一週間の食事量がきゅうり2本ほどだったこともあったようだ。

結果的に97年の3月末時点で、リスナーを集めた公開生放送の中、伊集院光は94.8キロまで体重を落とし目標値を達成。しかし、これで一件落着とはらなかった。

重病説も 過酷ダイエットの余波


この企画はラジオ番組の中で行われたため、テレビにおいて伊集院はダイエットの詳細を語ることはなかった。そのため、急激に痩せた伊集院光の姿を見た視聴者の間では重病説がささやかれることもあったという。
さらに、急激に痩せた伊集院は皮の縮みが間に合わず、腹の皮がたるんでしまった。
(その様子を後日写真週刊誌で披露している)。

また、別の仕事にも支障が出た。テレビで急激に痩せた伊集院の姿を見て、映画監督の伊丹十三から電話がかかってきたという。(伊丹は自身の映画に伊集院をたびたび起用していた)。
「新作の台本を見てみろ」と伊丹。役柄のイメージには“著しく太ったデブ”と書かれていたのだ。そのため、伊丹十三の遺作となった『マルタイの女』をクランクインするにあたり、伊集院光の“デブ待ち”が行われたという……。

(下地直輝)
※イメージ画像はamazonより伊集院光と弁護士・岩田武司のもめごと解決大将軍 (小学館文庫)
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