
「少しでも変な事をしてみろ。私の祝福で殺す」
数話前、兵士に紛れていたニット帽の男が凶悪死刑囚3人組に言ったセリフだ。モブキャラと思われていた男が、いや、それどころ読者に意識すらされていなかった男が急に大きめのコマでこれを言ったのだから読者としては胸が踊った。
さすがは悪の大国ベヘムドルグ。変なヤツばかりじゃない。こういうカッコ良くて強いヤツもいるんだ。読者のほとんどがこの男に期待を寄せたはず。しかし、現実は違った。
完全に藤本先生に弄ばれて
前話で突然登場した謎の集団。彼らはアグニを神と信じて疑わない盲信者だった。そのリーダー格と思われる覆面バット男は、アグニの指示を受け奴隷達を車にトラックに乗せて見事開放に成功する。しかし、ニット帽の男はベヘムドルグ兵の指揮を執り、奴隷を奪還しようと試みた。
「私は炎を出す事が出来る!!」
ニット帽が兵士達の士気を上げるために叫んだ言葉だ。
なんて空気が読めない奴なのだろう。こんな奴、死刑囚三人組の誰一人に勝てない。それなのに、とんでもない強キャラが現れたと胸を躍らせてしまった自分が情けない。完全に藤本先生に弄ばれてしまったようだ。
トガタ主役降板。新章へ
今話の初めにトガタは「これは私がでしゃばらない方がおもしろいっすね」と呟いている。もう“脚色を加えない”という宣言だ。トガタの映画制作物語編は、これで終了したということになる。では、新章はどういった話になるのだろうか?
現時点で予想できる次の章のテーマは“祭り上げられてしまった救世主”。
覆面男「アグニ様どうしたんですか?さっさと悪(ドマかユダ)を殺しましょう。なぜ庇うのですか?あなたは変わってしまった。ベヘムドルグ兵を殺した時の貴方は神だった。変わってしまったのなら、いっそのこと・・・」
こんな感じで揉めそうだ。奴隷達と一緒に行動しているトガタ、ネネト、サンの行動も気になる。どういう方向で話が展開するにしても、覆面バット男と気が狂ってしまったユダが、次のキーパーソンになりそうだ。
(沢野奈津夫)