……という、あまりにもしょぼいトリックを連発していた日曜劇場『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBSテレビ系・日曜21:00〜)。
しかし第4話にして遂に、IQ246の頭脳じゃないと解明できなそうな、すんごく難解な事件が起こった!
どのくらい難解かというと、ドラマを最後まで観たのに犯行動機も、トリックも、諸々の伏線も、全然理解できなかったくらい!?

伏線もなく「親子でしたー」とか言われても……
今回の犯人は国仲涼子演じるピアニスト・二本松由里。
殺されたのは、有里を妊娠中だった母親を捨てて、出世のために病院理事長の娘と結婚した上、認知すら拒否し続けてきた父親(この親子関係は終盤まで隠されていたが)・土門賢治(金田明夫)。
・土門が病気で死にそうな母親の見舞いに来てくれなかった。
・そのことで土門と揉み合いになり、由里はピアニストの命ともいえる指をケガしてしまった。
・外科医である土門が主治医として指の治療にあたったが、まだ動くようにならない。
・「再婚はしない」と言っていた土門が再婚しようとしていることを知った。
このようなことが積み重なった結果、由里は土門に殺意を抱くようになり、そこへ例のごとく「13」こと「M」こと「マリア・T」から完全犯罪指南メールが届く。
しかしその犯行計画は、いつも通りのズッコケトリックなのだ。
由里が教えている音大でのレッスン中、学生たちのピアノ演奏をモニター室(外から中は見えない)で録音しながら聴いている……と見せかけて、コッソリ抜け出し土門の住むタワーマンションへ。
エレベーターに暗証番号を入れないと上れない最上階にある土門の部屋を訪れ、後ろから置物で頭をガツーン! さらに包丁でグサッと刺し、監視カメラの映像を前日のものと入れ替え(どうやったのかは不明)音大のモニター室に戻って完全犯罪成立!?
まあここまでは、いつものしょぼいトリックなので、法門寺沙羅駆(織田裕二)も早々と由里に目星をつけていたのだが、どうにもこうにも由里のアリバイが崩れない。
これはどうしてなのか!?
由里の刺し方が甘かったせいで、実は土門は死んでいなかったから。……知らんがな!
しかも土門は脳腫瘍の影響で、殺されなかったとしても余命半年だったのだ。……知らんがな!
由里が去ってから意識を取り戻した土門は、急に親としての情を取り戻し、「どうせ余命半年だし……」と考えたのか、由里に疑いがかからないよう偽装をした上で自ら命を絶っていたのだ。
おかげで死亡時刻がずれ、由里に完璧なアリバイが出来てしまったというわけ。
終盤まで由里と土門の親子関係が隠されていた上に、「由里と土門は愛人関係なのだ」とミスリードを誘うような演出をしていたため、親子だと明かされた時には「スゲエ! 完全にだまされてたよ!」と感動してしまった。
しかし「どこに親子だというヒントが隠されていたんだろう!?」とワクワクしながら見返してみたところ……ヒントない! 3回見たけど、全然伏線張られていないよ!
何の伏線もなく「実は親子でしたー!」「実は死んでませんでしたー!」とか言われても「知らんがな」としか思えませんわ。
1回も出てこなかった母親の誕生日がカギ!?
事件の真相を見破れた視聴者は皆無と思われるほど超絶難解トリック(?)だった第4話だが、もちろん我らが沙羅駆はIQ246の頭脳を駆使してバッチリ解決してくれた。
沙羅駆はあることをきっかけに、ふたりが親子である可能性に気づき、DNA鑑定をして確証を得るのだが、そのきっかけというのが、土門がマンションの暗証番号に登録していた数字が「90211691」であるということ。
逆から読むと1961年12月09日。由里の母親の誕生日になるのだ。……って、知らんがな!
もちろんこの謎についても伏線一切ナシ。
せめて暗証番号を入力するシーンで「90211691」の数字が映ってるくらいのヒントはあってもよかったのに……(そんなんじゃヒントにもならないけど)。
というか沙羅駆も、由里の母親の誕生日なんていう超・プライベートな情報まで調べているなら、いくら認知していないとはいえ、土門が由里の父親であることも分かりそうなもんだけど。
新説! 「M」=人工知能
第1〜3話まで、あまりにみんなが「トリックがしょぼい!」と言い過ぎたせいで、急にノーヒントのいじわるトリックに変えたんじゃ……!? とすら思えた第4話(単に脚本家が変わったんだけど)では、すべての事件の黒幕である「M」の正体についてもまた新たな展開が。
まず「M」らしき女性の口元が初登場。
この口元&髪型はやはり、監察医・森本朋美(中谷美紀)のものに見えるが……!?
その森本と沙羅駆とのやり取りも意味深だった。
「殺したいほど人を憎んだら、沙羅駆さんならどうしますか?」
という森本の問いに対し、
「完全犯罪を仕組んで殺します」と答えつつ、妙に鋭い目つきで森本を見つめながら「いまだに私にそのような思いを抱かせた人物はいない、たったひとりを除いては」と語っていた沙羅駆。
見ようによっては、森本=「M」と目星をつけているようにも見えたが、果たして!?
一方、「M」が完全犯罪を指南するメールは3年前のロンドンから送信されており、賢正(ディーン・フジオカ)いわく「やはりあの時死んでいたのでは?」という気になる情報も。
これまで小出しにされてきた「M」情報は、ほぼすべて「M」=森本説を裏付けるようなものだったが、「3年前のロンドン」「あの時死んでいた」というのは、今のところ森本とは関係がなさそうに思える。
・監視カメラやパソコンのカメラなどを使い、あらゆる場所で犯人たちや沙羅駆を監視している。
・ウイルスっぽい「M」からのメール。
・「闇の中から出てこれない卑怯者」という沙羅駆の発言。
この辺を踏まえてムリヤリ「M」=森本以外のパターンを考えてみると、「M」は3年前にロンドンで死んでいて、今暗躍しているのはネットワーク上に存在する「M」が作ったウイルスのような人工知能……なんてセンもあったりして(ちょいちょい出てくる女性はあくまでイメージ映像!)。
様々なネットワークに侵入できる人工知能が協力していたとしたら、どうやったのか謎だった今回の監視カメラ映像すり替えトリックも説明できるし……!?
このように、何だかんだと言いつつ、熱中して観てしまっている『IQ246〜華麗なる事件簿』。今夜放送の第5話ではゲスト犯人として成宮寛貴が登場。
予告編で沙羅駆が「杉下!」と叫んでいたことだし、『相棒』ネタが多数ぶっ込まれそうな予感がするぞ!
(イラストと文/北村ヂン)