今年で放送開始から21年目。未だ衰えぬ人気で、毎回視聴率20%近くを記録する『ザ!鉄腕!DASH!!』。
今でこそ、メイン企画である『DASH村』や『0円食堂』などのイメージから、田畑開墾・農家との交流が中心の「農業系バラエティ」の趣が強い同番組ですが、スタート当初のコンセプトは「人間の限界に挑戦する」というものでした。

その頃に行われた企画は実に多彩。例えば、TOKIOが新幹線とリレーで対決したり、自転車3000コギで35キロ離れた海への到着に挑んだり……。まさに、身一つであらゆる限界にチャレンジする、今よりもさらにガテン系なメンバー5人の姿を垣間見られる番組でした。

そんな『ザ!鉄腕!DASH!!』に、かつて、ガチなパロディ番組が存在していたことをご存知でしょうか? その名も『鉄骨!DASH!』。主演を務めるのは『TOKIQ(トキキュー)』という偽者5人組です。

長瀬=ミャンマー人、松岡=額にタオルを巻いた面長の子ども


『鉄骨!DASH!』が放送されていたのは、1999年から2000年にかけて。木更津ケーブルテレビ(現:ジェイコム千葉)というローカル放送局が企画した番組でした。

何と言ってもインパクト大だったのが、TOKIQのルックス。去年、『ガキ使』の「笑ってはいけない24時」で“偽SMAP”が登場して話題になりましたが、この偽TOKIOも、それに勝るとも劣らない絶妙な人選。
まず、長瀬役がミャンマー人。これはかなり似ていています。しかしそれ以外のメンバーは、髪型や表情、服装で雰囲気を似せているだけという、“偽SMAP”と同系統のなんちゃってそっくりさん的仕様。

特にすごかったのが、国分と松岡。国分=目元と笑ったときの口角筋の上がり方が多少似ている程度の女性、松岡=額にタオルを巻いただけの面長の子ども(1号から3号までいる)が配されるという、雑過ぎるキャスティング。けれども、それがまた何とも言えない味になっていました。

本家『鉄腕!DASH!!』とのコラボ企画も実現!


このような、遊び心全開だったTOKIQの人選ですが、番組内で実施された企画はかなりガチ。地元千葉のマザー牧場で遊覧トラクターとリレー対決をしたり、300歩で成田空港から80キロ離れた木更津港まで行けるか挑戦したり……。ガチ、というより、「これいいの?」と思うようなド直球なパクリ企画を、堂々と遂行していました。

しかも、寛容なことに『鉄腕!DASH!!』側もこれを容認。それだけに留まらず、番組の中で『鉄骨!DASH!』を取り上げた企画を何度か放送。その中で、実際に国分がTOKIQへ会いにいったりもしています。
しまいには、鉄腕×鉄骨のクロス中継まで実現。鉄腕側に長瀬役のミャンマー人、ココ・ソーが、鉄骨側には本物の長瀬が出演するという、奇跡のコラボが実現したのです。

1年余りで終了した『鉄骨!DASH!』


本来、これほど露骨にパクッてしまっては、本家からお咎めがあってもおかしくなさそうなもの。ですが、そうならなかったのは、『鉄骨!DASH!』の放送局が競合他社である大手民放キー局ではなかったから。
加えて、素人のそっくりさんを登用するなどして、少ない予算をやりくりしながら、『鉄腕!DASH!!』を模倣しようとした、その心意気とユーモア精神が認められたからだと、推察されます。

その後も、「木更津カントリークラブから何打で海に出られるか!?」「貯金ゼロから3年間で鎌倉に別荘は建てられるか?」など、さまざまな挑戦が予定されていましたが、長瀬役のミャンマー人・ココの渡米といった事情により、1年余りで終了してしまった『鉄骨!DASH!』。
あれから16年。今、TOKIQのメンバーがどこで何をしているのか……。ぜひ、本家『ザ!鉄腕!DASH!!』で追跡企画をやって欲しいものです。
(こじへい)
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