深く刻まれたほうれい線と眉間のシワ。今年で53歳。
この男も老けました、松本人志。そんな彼も若かりし頃は、今の自分と同年代のおっさん・おばはんを笑いのネタとして、好き放題イジリ倒していたものです。
今回は、そんな松本が生み出したおっさん・おばはんの名物キャラクターを紹介していきます。

オジンガーZ


オジンガーZは『ごっつええ感じ』のコント「結婚前提戦士ラブラブファイヤー」に登場するキャラクター。保証期限切れの精密巨大メカロボットという設定であり、入れ歯ミサイルなどの武器をつかって悪と戦います。
特に気象解説者・福井敏雄氏と繰り広げたしりとり対決は、ごっつ屈指の名場面。しりとりにも関わらず最初から「こくぎかん!」と勢い良く言い放ち、爆笑をさらっていました。

演じているのは橋爪光男さんというおじいちゃんであり、松本はいたくこの老人を気に入っていたといいます。ごっつ終了から10数年後、橋爪さんが鬼籍に入ったことを知り、松本は自宅まで線香を上げにいったとのこと。
そこで彼が見たのは、遺影の横に飾られていたオジンガーZの写真。橋爪さんもまた、ごっつに出たこと、松本たちと共演したことを、長い人生における大切な思い出としていたのを知り、想いが込み上げてきたと自身のラジオ番組で語っていました。

腰振りおばちゃん


パンチパーマとつぶらな瞳がチャームポイントの腰振りおばちゃんこと、浅見千代子さん。彼女が『ガキの使い』に初出演する際、番組側から「無表情で出てくれ」と言われたといいます。
以降、松本から気に入られ、何回か番組へ呼ばれるうちに、真顔・言葉を発しないキャラが完全定着。
主に、嫌がるガキ使メンバーへ無理やりディープキスをする罰ゲーム要員として、数々の企画で活躍してきました。

企画中のこととはいえ、浜田や松本、ココリコの2人からキスしたあとに「オエー!」と嗚咽されたり、「臭い」と言われたりして、さぞかし気を病んでいるのかと思いきや、本人は「若い男たちとキスができて嬉しい」のだとか。この強靭なメンタルを活かし、2014年12月14日には池袋サンシャインシティ噴水広場で、「30秒間で何人の人にキスができるか」のギネス記録に挑戦し、見事、世界記録を達成しています。

野見隆明


松本はかつて、島田紳助と共に『松本紳助』(日本テレビ系)というトーク番組をやっていました。ある日の収録、松本は観覧席に座る一人の気になるおっさんを発見。余程光るものを感じたのか、すぐにスカウトし、2003年、フジテレビの人間観察ドキュメンタリー『働くおっさん人形』で芸能界デビューさせます。そのおっさんこそが、野見隆明です。

後継番組である2006年~2007年放送の『働くおっさん劇場』では、松本の力の入ったプロデュースによって、その特異なキャラが完全開花。それぞれ強烈な個性をもった5人の出演おっさんの中で、ダントツ人気のおっさんとして名を馳せます。
2011年には、松本監督の『さや侍』でスクリーンデビュー。しかも、演技経験など『働くおっさん』のときにやったお遊戯レベルのコントくらいしかないのに、主演の大役を任せられるという破格の待遇でした。現在は新宿歌舞伎町のバーテンダー兼、吉本の用務員として働いているという野見さん。
また、松本と共に表舞台へ立つ日が来て欲しいものです。

以上のように、さまざまなおっさん・おばはんをプロデュースしてきた松本人志。老境に達しつつあり、自分が「おっさん」となった今、以前ほど、積極的にシニア世代いじりをしなくなった感があります。果たしてこのまま丸くなっていくのか、はたまた、どこかでまたおっさん・おばはんのコミカルさ哀愁を引き出すような新キャラを生み出すのか……。今後に注目したいところです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより働くおっさん人形 [DVD]
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