そして昨年には、11年ぶりの続編『ブリジット・ジョーンズの日記3 ダメな私の最後のモテ期』が公開され、話題になった。11年も経って第3弾が製作されたのは、主役のブリジットに共感する女性が多いからだろう。その彼女の魅力とは?
ダイエットも恋もうまくいかない…等身大のアラサー未婚女性
『ブリジット・ジョーンズの日記』1作目では、ブリジットは32歳の未婚女性という設定。美人でもなく、ファッションも奇抜であか抜けない。むっちり、ぽっちゃり体型で、ダイエットもうまくいかない。しかも、大酒飲みで飲み過ぎて道で吐くし、ヘビースモーカーで、片づけも料理も苦手。
どう考えても、男性にもてる要素はない。そして、仕事ではドジで間が悪く大役をまかされても失敗ばかり。恋愛には夢心地の妄想から一人空回りすることも……。
美人で頭が良くて「私、失敗しません!」という完璧で自信満々な女性には全く関係がない世界だが、30歳を過ぎた恋人ナシのシングル女性、何かしらコンプレックスを抱く女性は、ブリジットの行動や語りに引き込まれ、つい自分を重ねて親近感を抱く。
もちろん、コメディとして大げさに描かれているので、ここまで突飛な女性はいないが、どこかひとつは自分にも思いあたるところがあると感じられ応援したくなる、等身大のキャラだ。
飾らない卑下しない「ありのまま」の魅力
ブリジット・ジョーンズ役のレニー・ゼルウィガーの個性、演技力もあって、ブリジットは美人ではないが、笑顔がとてもチャーミングなのが印象的だ。
30代でぽっちゃり体型なのにミニスカートをはくし、ブラが透けて見えるシースルーのブラウスを着て職場に行く大胆さももちあわせている。デカパンを履いているが、いざという時には“勝負パンツ”を履いて臨みたいという乙女心もある。
つまり、ブリジットは、生まれつきの才能や美貌やセンスはもちあわせていないが、自分を卑下することなく、ありのままの自分を認める。不器用ながら、なんでも一生懸命に体当たりする。
憧れていた上司のダニエル(ヒュー・グラント)の婚約を知り失恋した時は、大号泣して激しく落ち込むが、そこで結婚は諦め、独り身で頑張ろうと会社を辞めてテレビ局のレポーターに転職する。あくまでも立ち直りが早く、前向きでパワフルだ。
また、独身であるのは「なるほど」と思えるような個性が強い親友たちがいて、集まっては本音を言い合いお酒を飲む。娘を愛する親がいる。あらぬ誤解から入った刑務所で友達をつくる。恋愛ベタでも、いい人間関係に恵まれているのは、ブリジットが自然体で素直に自分を表現し、人と向き合うからだろう。
ちなみに、キャンペーンで日本に訪れたブリジット役のレニー・ゼルウィガーは47歳になり、顔が激変し「誰だかわからない」「整形のせい?」と話題になったが、「変わったと言われて嬉しい」とさらりと受け流した。
『ブリジット・ジョーンズの日記』日本版を制作するとしたら、誰がブリジット役にふさわしいのか考えてみたが、適役の女優はいない。『ダメな私に恋してください』の深田恭子、『ラストシンデレラ』の篠原涼子は、いずれもダメダメな負け犬キャラで女性の共感を得たが、役作りで10キロ体重を増やしても二人とも美人過ぎる……。
そして第3弾、アラフォーになったブリジットの恋
第2弾の『ブリジット・ジョーンズの日記2 きれそうなわたしの12か月』では、初対面の印象は最悪だったものの、運命を感じたマーク(コリン・ファース)から、「ありのままの君が好きだ」と告白され、ハッピーエンド。「ありのままの君が好きだ」というのは、コンプレックスのある女性、美人ではない女性にとっては最大限の賛辞であり殺し文句だ。
そして、マークとの幸せな結婚生活を送っているであろうと予想されたブリジットだが、アラフォーになっても、なぜかまだ独身だった……。というのが、『ブリジット・ジョーンズの日記3 ダメな私の最期のモテ期』のストーリー。
「日記をつける」というのが、現在ではアナログに思えてピンとこないが、そんな“変わらない”部分も楽しめるはず。街の風景、ブリジットの部屋や音楽なども、ロマンティックで映画のいいスパイスになっている。続きはDVDなどでどうぞ。
(佐藤ジェニー)
※イメージ画像はamazonよりブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期-オリジナル・サウンドトラック