11月25日、キューバ共和国の最高指導者であったカストロ議長こと、フィデル・カストロが90歳で死去した。カストロ議長は1959年にキューバ革命を成し遂げ、社会主義国家を樹立。
1965年から2011年までの長きにわたり、キューバ共和国の最高指導者を務めた。

カストロ議長は日本びいきで知られ、映画の『座頭市』を好み、主演俳優である勝新太郎の熱心なファンで知られた。さらに女優の石野真子のファンであることも公言しており、アントニオ猪木とも親交があった。
そんなカストロ議長は、あの日本の名物ゲリラ番組と縁がある。言わずもがな『進め! 電波少年』(日本テレビ系)である。

カストロ議長に突撃した「電波少年」


当時『電波少年』は、世界のさまざまな要人に、“アポなしロケ”を仕掛けていた。松村邦洋が南アフリカのマンデラ大統領、アメリカのカーター元大統領に面会したかと思えば、松本明子が単身パレスチナに渡りPLOのアラファト議長と対面を果たした。その中で、カストロ議長へもアタックがかけられたのだ。

キューバへ渡ったのは宮前真樹。アイドルグループCoCoの元メンバーであり、羽田惠理香(現・はねだえりか)とともに無謀な企画に挑戦していた。

カストロ議長の髭で書き初め!?


企画タイトルは「カストロ議長の髭を剃って書き初めをしたい」というもの。人間の毛を用いた筆は実在するが、赤ちゃんの産毛など柔らかいものを用いなければ使いものにならない。高齢のカストロ議長ならば、推して知るべしであろう。

過去に『電波少年』では、社会党の村山富市委員長の白く伸びた眉毛を切る企画に挑戦し、見事成功している。
そこで次のターゲットとして、カストロ議長が選ばれたのかもしれない。

カストロ議長の髭はカリスマ性の象徴でもある。アメリカのCIAは、特殊な薬品を用いてカストロの髭を無くす計画を真剣に練っていたほどだ。そんな“カストロの髭”をターゲットに定めるとは、恐るべき番組である。

来日していたカストロ議長


宮前真樹はいざキューバへ飛び、カストロ議長の居場所へ向かうが、警備が厳重でありその場では立ち止まることも許されなかった。『電波少年』の海外ロケ企画では、目的を現地の言葉で書いたメッセージボードを持つが、それも「表に出すな」とタクシー運転手から静止されていた。キューバは言論統制の激しい社会主義国家であり、そうした“ジョーク”は通じないのだろう。

さらに悲しいオチとして、宮前真樹がキューバ訪問中、カストロ議長は何と日本に来ていた。さすがに髭を剃って書き初めは実現しなかっただろうが、むしろ日本にいた方が遭遇のチャンスはあったかもしれない。

※イメージ画像はamazonより電波少年 BEST OF BEST 雷波もね! [DVD]
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