
■CNBLUE/【CNBLUE 5th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2016 - Our Glory Days -】ライブレポート
2016.11.30(WED) at 日本武道館
(※画像6点)
「皆さんが僕たちのプレゼント」(ヨンファ)
韓国出身のロックバンドCNBLUEが、日本メジャーデビュー5周年を記念した『CNBLUE 5th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2016 - Our Glory Days -』のファイナル2DAYS公演を日本武道館にて開催した。レポートするのは最終日の11月30日(水)の模様である。
バンドのテーマカラー、ブルーの照明が点き、観客の手元でも同色のライトが揺れる中、SEに乗せてメンバーが登場。照明がパープルに切り替わると、メジャーデビュー曲「In My Head」を奏で始め、ジョン・ヨンファ(Gt,Vo)はいきなり荒っぽくシャウトする。次々と噴出し続けるファイアーボールに呆気に取られながらも、何より強く引き付けられたのは、リズムに変化が施され、シンセの音色も追加、現在の彼ららしくアップデートされた楽曲の新アレンジである。

2ndシングル「Where you are」へと繋げる際に盛り込まれたユニゾンのパートは、イ・ジョンヒョン(Gt, Vo)のギターリフを一層際立たせていたし、イ・ジョンシン(Ba)、カン・ミンヒョク(Dr)のリズム隊もいつも以上にズッシリと落ち着いていて、抜群の安心感。このツアーで、彼らは自らの成長をファンに示そうとしている――冒頭からそんな意欲を感じ取ることができた。
ステージ背後のスクリーンが5分割されてメンバーの姿が大写しになり、「Have a good night」を放つと、序盤2曲で見せつけた硬派なロックバンドの佇まいとは打って変わって、一気に楽し気なムードに。ファンも声を合わせ、ヨンファは軽やかなステップを踏む。ダンスビートはそのまま「Puzzle」へと引き継がれ、四つ打ちを刻むミンヒョクのバスドラムが体に響いてくる。
ヨンファがステージの上手端へ行けば、ジョンシンは下手端へ、と大きく動きまわり、生き生きとした歌と演奏、パフォーマンスを展開。ジョンヒョンも、正確なカッティングをしながら、小刻みにジャンプして全身で音楽を表現していた。
「こんにちは! CNBLUEです!」と声を揃えて挨拶すると、「今日が最後ですから、いい最後をつくりましょう。最高の最後をつくりましょう!」とヨンファ。
ヨンファは「この曲は20歳の時の曲です。可愛い感じで、ストリートライブな感じでお願いします!」とジョンシンにもリクエストすると、「もちろん!」とジョンシンは応える。ヨンファがアコースティックギターを奏でながら歌い始めたのは、ストリートで活動していたインディーズ時代から存在する懐かしい曲「Let's go crazy」。スクリーンの映像はモノクロに代わり、ノスタルジーを掻き立てる。
続く「Love girl」もヨンファは投げキッスの後にハートマークを手でつくってみせたかと思えば、ステージの端から端までダッシュするなどノりにノっていて、スクリーンに大写しになったミンヒョクも楽し気な笑顔を浮かべていた。

「今日が一番熱い! 今日が5年の中で一番だと思います。5年……本当は(インディーズから数えると)7年ですけど、皆さんにもらった感謝の気持ちを僕たちはアルバムにしました」と、10月にリリースされた最新作『EUPHORIA』に込めた想いを語るジョンシン。ヨンファも、気持ちの面はもちろん「喉のコンディションが一番いいです」と明かし、「今日もすごく楽しい」と連呼する理由を付け加えた。
白シャツ衣装のジョンヒョンを「千秋スタイル(『のだめカンタービレ』の千秋先輩)ですね?」とジョンシンが指摘し、「ジョンシンはマエストロ?」(ジョンヒョン)といったやり取りで笑わせた後は、しっとりと深く聞かせるシークエンスへ。
続いて、裏打ちのリズムが心地よく、グルーヴィーなアンサンブルを奏でた「Don't care」。巨大な光の“ネット”に覆われる照明効果が印象的だった「Royal Rumble」は、表現豊かで丁寧な歌、しなやかでまるで歌っているようなベースラインなど、聞かせどころに満ちていた。
「メジャーデビュー前のCNBLUEスタイルの曲から、今のCNBLUEスタイルまで、全部セットリストに入れて準備しました。インディーズ時代の可愛い曲から、新曲まで」とヨンファが語った通り、最新アルバム『EUPHORIA』収録曲を中心に据えながら、日韓、新旧織り交ぜたセットリスト。ロックを基調としつつも、彼らが様々な要素を柔軟に取り入れ進化してきたことがよく分かるし、その結果、幅広い音楽性を保っているからこそ、こうした起伏に富んだステージ展開が可能となる。
「次の曲からはロックスタイル! 今は冬ですけど、夏フェスみたいな感じで行きたいと思います」(ヨンファ)とのMCから、「Take me higher」へ。ドカン!と強い衝撃を体に感じるほどの特効が炸裂、赤や黄色の鮮烈な色のライティングの下、リフを前面に押し出したロックナンバーで盛り上げる。

仁王立ちしてマイクを両手で握り、勇ましい姿でパワフルに歌い始めるヨンファ。続けて、落ち着いたBメロを大人っぽく歌い繋ぐジョンヒョン。2人のヴォーカリストの個性がうまく交じり合い、曲に奥行きを与えていく。
そのまま「Ryu Can Do It」に雪崩れ込むと、挑発的なラップを繰り出すヨンファ。ジョンシン、ミンヒョクのコーラスも熱い。短いブレイクのように織り込まれる無音の瞬間にハッと息を飲み、メリハリの効いた演奏にどんどん引き込まれていく。ハイトーンで思い切り長く伸ばすヨンファのメタルロッカーばりの歌唱で圧倒すると、「I'm sorry」では客席をダンスホール化させ、大拍手と大歓声を引き起こし、武道館に熱気を充満させた。
「熱い、熱い、熱い! この雰囲気、ロック(な楽曲)でしたけど、今からはダンス(曲で)やりましょう。準備はいいですか?」(ヨンファ)とさらに煽ると、極彩色のライティングの中、シンセやホーンセクションの音色が鳴るファンキーな「Face to face」へ。スタンドからもぎ取るようにしてマイクを握り、熱視線を送ったり髪を整えたり、芝居を交えながら歌うヨンファ。「Wake up」はミンヒョクのドラムでスタートし、そこにジョンヒョンのギターが重なってくる、というアレンジを効かせた長いイントロでファンとの掛け合いを楽しんだ。観客も声を合わせ、手をクルクルと回して盛り上がるサビは、何度聞いても吸引力がすさまじい。
「武道館、楽しいですか? 僕より楽しいですか?」(ヨンファ)と問い掛け、大きな返事を得ると、ようやく曲が再開。こうして充分にファンとコミュニケーションを取りながら、「Lady」へ。節回しを変えた自由なヴォーカリゼイションからも、ヨンファが解放感を味わいながら歌っていることが伝わって来て、こちらも気持ち良くなる。「Cinderella」で大写しになったヨンファは汗だくの様子だったが、本編ラスト目前にしてなお、歌声は艶やか。ジョンシンのベースの高音部も美しく、魅力的だった。
「このライブは、『ああ、やっぱり武道館だなあ』って」と、特別な感慨を滲ませてヨンファが語り始めると拍手が起きた。ジョンシンは、あまりの熱い盛り上がりに「皆さん、体大丈夫ですか?」とファンを気遣うほど。再びヨンファが「この曲は、5年間皆さんからもらった感謝の気持ちを曲として作りました。この曲を皆さんにあげます」と語り、『EUPHORIA』のリード曲「Glory days」を放った。ミラーボールがステージ上空から光を放ち始め、客席の天井に眩しい星空が出現する。

アンコールではまず、ヨンファがアコースティックギターを弾き語りながら、♪武道館、ありがとう、との替え歌を交えて「YOU'RE SO FINE」を披露。EDM要素を取り入れたロックナンバー「Radio」では、ヨンファはキーボードを奏でていたかと思えば、気付くと花道の端で頭を振りながら歌っていたり(最後にはステージセンターで仰向けに倒れていた)、ジョンヒョンも激しく左右に体を揺らしながらギターを掻き鳴らしていたり……。「本番(本編)よりもっと楽しい時間をつくりましょう!」とアンコールで登場してすぐヨンファが語っていた通りの熱狂ぶりである。
「本当に今回のツアー、感動しました。皆さんと僕たちが一つだと思いました。これからもまたずっといいライブを作りましょう!」(ヨンファ)、「5周年のツアーができるのは、やっぱり、皆さんがいるからだと思います」(ジョンシン)と異口同音にファンへの感謝を伝えるメンバーたち。ジョンヒョンは、ライブの前にPCでとある映画を観て「今日のライブ、頑張れる!」と思った、という経験談をもとに、「2時間の映画を観ただけでライブを頑張れること、すごいなと思って。考えてみたら、僕らもそういうことをやってるなって。皆さんもいろいろあると思うし、世界的にも大変だし。でも皆さんにいい想い出をつくってあげたり、僕らが夢を続けられるように応援してくれるのを見たりして、まだまだ世界は終わってないなあと思いました」と語ると、大きな拍手が起きた。ジョンヒョンの語彙豊かな日本語MCは当然のものと受け止めているので、もはや驚きすらないのだが、エンターテインメントの果たす役割をしっかりと認識したこの言葉に触れ、改めて彼の知性に胸打たれた。
このMCに続いて、自身がメインヴォーカルを務める「a・ri・ga・tou」を優しく心のこもった歌声で弾き語ると、感極まった様子で幸せそうな笑みを浮かべ、その後、口をギュッと結んだ。ヨンファも穏やかな笑顔を浮かべ、ミンヒョクはじっと目を閉じてドラムを叩いている。ジョンシンは毅然とした真剣な表情。弱虫な自分を超えて、今ここで歌うよと、そっと宣言するような最後のフレーズを歌い終えた時、ジョンヒョンの目に光るものがあったように見えたのは気のせいだろうか?
「皆さんからエネルギーをもらって、いいツアーになりました。皆さんが僕たちのプレゼントだと思いました。皆さんがいるから昔の夢だった武道館で最高のライブをできて、感無量です!」(ヨンファ)と挨拶。「50周年にまた会いましょう! 500年も……その時はみんなも僕たちもいないけど、その時も僕たちの曲と、皆さんと僕たちが作った時間はあります」と続けると、拍手が沸き起こった。

「500年後、皆さんがこの曲を聞いたら幸せです」と届けたのは、「YOUNG FOREVER」。センチメンタルなシンセのフレーズに、優しいヨンファの歌声が重なる。ステージの上方から銀の紙吹雪が舞い散って来て、眩いほどの美しさだ。3人ともコーラスし、全員で声を合わせる姿がスクリーンの分割画面で横並びに映し出される。全員、穏やかで充実した良い表情を浮かべていて、このツアーが成功裏に終わろうとしていることを物語っていた。
最後は、「Can't Stop」をダブルアンコールとしてファンにプレゼント。舞い散った銀の紙吹雪をメンバーは拾い上げ、再び撒き散らし、「ありがとう!」と声を揃え「また会いましょう!」と再会を願いながらステージを去った。
2009年、ストリートやライブハウスでの活動をスタートし、地道な積み重ねの末、2011年10月にメジャーデビュー。それ以降、コンスタントに作品を生み出し、腕を磨き、メンバー各自の色を際立たせるようになっていった。個別でも音楽に演技に、と活躍する多忙な彼らであり、バンドだけに専念できない状況にも関わらず、こうしてライブを観るたびにバンドとしての強度が上がっていることに驚く。ヨンファのMCにあったように、5周年の活動を終えた今後、年を重ねながらますます成熟していくであろう彼らの未来を見つめていきたい。
(取材・文/大前多恵)
≪セットリスト≫
1. In My Head
2. Where you are
3. Have a good night
4. Puzzle
5. Let's go crazy
6. Love Girl
7. Be OK
8. Don't Care
9. Royal Rumble
10. Take me higher
11. Ryu Can Do it
12. I'm sorry
13. Face to face
14. Wake Up
15. Lady
16. Cinderella
17. Glory Days
<ENCORE 1>
1. YOU'RE SO FINE
2. Radio
3. a.ri.ga.tou
4. YOUNG FOREVER
<ENCORE 2>
1. Can't Stop
≪ライブ情報≫
【イ・ジョンヒョン(from CNBLUE) 1st Solo Concert in Japan~Welcome to SPARKLING NIGHT~】
2016年12月25日(日)東京国際フォーラム ホール
【2016 FNC KINGDOM IN JAPAN - CREEPY NIGHTS -】
2016年12月10日(土)11日(日)幕張メッセ国際展示場9-11ホール
≪番組情報≫
WOWOW
『CNBLUE 5th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2016 -Our Glory Days-』
2017年1月15日(日) 16:45~ WOWOWライブ
http://www.wowow.co.jp/cnblu
≪リリース情報≫
5th Album
『EUPHORIA』
2016.10.19リリース
【初回限定盤A】CD+DVD
WPZL-31236 / ¥3,800(税抜)
【初回限定盤B】CD+DVD
WPZL-31238 / ¥3,800(税抜)
【通常盤】CD
WPCL-12444 / ¥3,000(税抜)
【BOICE限定盤】CD+DVD+グッズ
WPZL-31240 / ¥4,800(税抜)
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