―5月14日、15日に日本武道館でのワンマンライブ「LiSA LiVE is Smile Always~RiP SERViCE~」を終えたばかりですが、自分の中でどんな公演になったと感じていますか?
LiSA:昨年、エンターテインメント性溢れるアリーナツアーやデビュー13周年記念の日本武道館でのワンマンライブを行ったんですけど、そのときはダンサーさんがいたりとか、演出が派手だったりとか、すごく世界観を持ったライブだったので、14周年の武道館ワンマンは原点にかえるような公演にしたかったんですよね。自分の歌と素晴らしい音楽たちとバンドや演出などの力。そういうみんなの力試しじゃないですけど、現在地をちゃんと確認した状態で、次の15周年に向かっていきたいなと思っていたんです。なので、今回の武道館はシンプルな場面もありましたし、より音楽的に楽しんでもらえるような構成をみんなで意図してつくりました。
―その結果、現在地を確認したうえで「これが出来るんだったら、こういう未来を目指せるかもしれない」と実感できるようなライブにもなったんじゃないですか?
LiSA:そうですね。原点にして、わりと挑戦的でもあって。それは今の自分で過去の楽曲を歌っていくことだったり、リアレンジしてその楽曲から最初に感じた素晴らしさを生でお届けすることだったり。私がバンドを好きになったときの原体験のように「音楽ってすごい!」みたいな体験をしてもらいたかったんですよね。そのためには、私の体調もそうですし、みんなのコンディションや空気感もそうですし、すべてがベストじゃなきゃダメだったし、信頼できる仲間とじゃなきゃ成立させられないし。それはとても難しいことなんですけど、武道館というホームだからこそ、そこに挑ませてもらったんです。自分自身にとっても限界に挑んだ、研ぎ澄ましたライブになりましたね。
―その挑戦をしたうえで、バンドやクリエイティヴスタッフなどチームLiSAは今、どんなチームになっているなと感じましたか?
LiSA:前回のアリーナツアー「LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY」のときにまず「この人たち、すごいな」と思ったんですよ。昔の楽曲たちも今のLiSAに似合った服を着せるようにリアレンジしてくれて、時を超えてもファンが楽しんでくれるようにしてくれたんですよね。そういう最強チームがそばにいてくれるのは、すごいことだなと思いました。それが引き金になって「ここまでやってくれるのであれば、この人たちの限界も見てみたい」と思って挑戦したのが今回の武道館だったんですよね。1曲目から「明け星」という梶浦由記さんにつくっていただいた楽曲をすごく大幅にアレンジして、弦のカルテット4人とパーカッションとギターと私でパフォーマンスしたんですけど、ギターのPABLOさんもアコースティックじゃなくエレキでやるっていう。そういういろんな挑戦を私だけでなくチーム全体でやったので……筋肉痛になりました(笑)。
―歴戦の猛者たちでも筋肉痛になるほどの挑戦だったと(笑)。
LiSA:普段使っていない筋肉を使ったんでしょうね(笑)。それだけ研ぎ澄ましたライブをしている実感もありましたし、それに向けた筋トレも、いつもと同じルーティンだったら筋肉痛にならないんですけど、いつもよりちょっとハードにやると筋肉痛になるじゃないですか。例えるなら、そういう感じです(笑)。
―限界を超えていくライブになったわけですね。そして、限界越えと言えば、常にそれを表現しているアニメ作品『鬼滅の刃』の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』主題歌を担当することになりました。
LiSA:全員が覚悟を持って挑んでいる作品ですよね。先んじて『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を鑑賞させていただいたんですけど、劇中のキャラクターたちと同じように制作に携わっている全員が命懸けで臨んでいることが伝わってきました。この作品を「素晴らしい形で届けたい」という想いを持って挑んでいるんだろうなと感じましたね。
―『鬼滅の刃』は、最初の「竈門炭治郎 立志編」から始まり、作品全体の熱量がどんどん凄まじくなっているように思いますが、今のLiSAさんの感想を聞く限り、今回の劇場版はさらに熱量が増している?
LiSA:そう思います。私もライブですごく大切にしていることなんですけど、毎回驚きや感動があり続ける。そのためにずっと高い熱量をみんなが注ぎ続けていて、その熱量が世界中を巻き込んでいくのはすごく爽快ですし、エンターテインメントというものはそうであってほしいなと思うんですよね。そして『鬼滅の刃』もそれを体現し続けている作品だと思いますし、今回の劇場版を観ていただきたいと思っていいます。
―例えば、アーティストであればキャリアハイを更新し続けていくことって大変なことじゃないですか。それこそ、とんでもない筋肉痛になっても、その次の高みを目指していくって尋常じゃない努力も精神力も要すると思うんですけど、なんでそれってできるんだと思いますか?
LiSA:同じように戦ってくれる仲間がいて、それはライブで言えばステージの上もそうだし、フロアの皆さんもそうだし。ウチのお客さんの声は本当に大きいんですよ。みんなが全力で歌っているし、みんなが私と同じ気持ちで歌っているボーカルなんです(笑)。なんでそこまで歌ってくれるかと言ったら、みんな「一緒にこの果てを見てみたい」と思ってくれている仲間だからなんですよね。
―その全力と全力の相乗効果がLiSAさんのライブを更新させているんですよね。ここからはLiSAさんと『鬼滅の刃』のストーリーを掘り下げていきたいのですが、まず最初に『鬼滅の刃』とその「竈門炭治郎 立志編」のオープニングテーマ「紅蓮華」と出逢ったときの印象って憶えていますか?
LiSA:私は『鬼滅の刃』という作品に出逢ったとき、作品の中で描かれる大事なもののために戦う覚悟の背負い方にとても共感したんです。なので、原作のマンガをイチファンとして読んでいたときから私もすごく泣きましたし、だからこそ、こんなにも多くの人の心を動かしているんだなと実感しましたし、そこで自分の中に生まれた感覚みたいなものを信じたいと思ったんです。あと「紅蓮華」は、そのときに完成していた『鬼滅の刃』の映像を観ながら、先に楽器のオケをみんなで集まってつくっていった楽曲です。
―その結果『鬼滅の刃』ファンのみならず、世界中の老若男女に愛される楽曲になっていったわけですけど、自分の中で「紅蓮華」は今どんな存在になっていますか?
LiSA:今となってはみんなの楽曲。『鬼滅の刃』って覚悟を持って挑んでいる人がたくさん登場するんですよ。悲しい過去を背負いながら戦っていく。鬼殺隊ってそういう人たちだらけで。だから「紅蓮華」という楽曲は『鬼滅の刃』のキャラクターたちのように覚悟を持って、責任を背負って戦い続けている人たち全員が自分の歌として歌ってくれている印象が今はあります。
―そこがいちばんの想定外だったんですね(笑)。
LiSA:未来をつくっていく子どもたちが口ずさむ楽曲になったんですよね。要するに、子どもたちに刺さる楽曲、作品であったということなんですけど、それが私にとってはすごく大きな変化でした。
―その後、LiSAさんは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌も担当することになります。梶浦由記さんとタッグを組んだ「炎」。あの曲をリリースした頃はどんな心境で活動されていたんでしょう?
LiSA:自分が主題歌を担当させてもらうことになる前から、無限列車編をマンガで読んでいたのですが、ひとりの『鬼滅の刃』のファンとして、そのときに自分の心を揺さぶったのが煉獄さん(煉獄杏寿郎)のお話で。そのお話の主題歌を担当させてもらえるということで、私も思い入れがすごく強かったんです。
―そうだったんですね。
LiSA:だから、私も想いを込めて向き合った作品だったし、この素晴らしい作品は絶対にたくさんの人に喜んでもらえるに違いないと思っていました。その作品と共に「炎」という楽曲も愛されて。自分が素晴らしいと思っているものがちゃんと受け止めてもられるというのは、自信になるというか、すごく心強いなと思いました。
―LiSAさん自身は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』をご覧になられたとき、どんな感想を持たれましたか?
LiSA:煉獄さんの生き様に「自分もこうでありたい」と改めて思いました。今の時代、選べるものが多すぎて、何にだってなれるし、何だって選べる。だからこそ、その中で自分がどう在りたいのか。自分の核みたいなものがしっかりしていないとブレるじゃないですか。私は芯のある人間でありたいと思っていたし、それこそ「鬼にならないか」と猗窩座に言われても「ならない」と言える強い信念を持っていたいし、自分はこうやって生きていくんだっていう覚悟を持って、それを貫き通していた煉獄さんの生き様。それに私は感動したというか「こうでありたい」と改めて思わせてもらいました。だから、憧れですよね。
―その主題歌となった「炎」は、自分の中でどんな存在になっています?
LiSA:いつでも大切な気持ちを思い出せる楽曲になっています。自分がどう生きたいかもそうですし、大切な人たちに対する想いもそうですし、そういった大切なものについて何度でも気付かせてくれる存在になっていますね。
―『鬼滅の刃』には、どんな感想を持たれていますか?
LiSA:炭治郎と禰豆子の物語が中心にありつつも、ひとりひとりのキャラクターを愛せる物語。覚悟を持って戦っている人ばかりですし、その中で本当の強さというのも垣間見えますよね。鬼にも鬼の事情があるから、そこに共感してしまうところもあったりして。
―凄まじい熱量で挑み続けている声優陣の皆さんには、どんな印象を持たれていますか?
LiSA:素晴らしい声優さんばかりなので、その演技力に泣かされています。今回の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』でも感動しました。私、煉獄さんのことが大好きだし、自分にとって憧れの師匠というか、先輩なんですけど……ん? 先輩なのか(笑)?
―煉獄さんはああ見えて20歳なので、年下ですね(笑)。
LiSA:憧れの年下なんですけど(笑)、無限列車編で「逃げるな」と言っていた炭治郎と猗窩座がまた邂逅するんです。
―LiSAさんにとってもカタキですもんね(笑)。
LiSA:対峙する花江夏樹さんのお芝居が本当に素晴らしいなと思っています。
―『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』を実際にご覧になられて、全体的にはどんな感想を持たれましたか?
LiSA:全然プロモーションにならないんですけど、結構な重量で胸が締め付けられるというか。あっと言う間の2時間半ですし、もう最初の場面からずっとスゴいんですよ。光の演出も素晴らしいし、それを灯しているのが人の手であることも素晴らしいと思ったし、美しいです。あと、無限城がめっちゃ動くんですけど、それもスゴい。
―そんな『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌として書き下ろした「残酷な夜に輝け」。そもそもどんな楽曲を目指して制作されたんでしょうか?
LiSA:作品側の皆さんと梶浦さんでこの楽曲を制作されていていた中で、「進んでいくんだという覚悟を感じられるような楽曲にしたいです」と制作されていたと伺っています。私は梶浦さんとの楽曲が今回で5作目になるので、梶浦さんが上げてくださったワンコーラスを最初にいただいた後、無邪気に「少しお話してもいいですか?」と私から梶浦さんのスタジオにお邪魔して、歌っていくうえでのご相談をさせてもらって。そしたら、お話ししたことを受けてから、梶浦さんもサビを新しく作ってくださったんです。
―そんな「残酷な夜に輝け」。実際にレコーディングで歌ってみていかがでしたか?
LiSA:本当にいろんな場面のある楽曲に仕上がって、さらに、梶浦さんは私のことも考えてくださって。私が歌い続けていく楽曲でもあるから、そこもすごく意識してつくってくださったんです。そういう意味では、Aメロ、Bメロ、サビのところで自分の思う世界観を表現できたので、そのあとはどちらかと言うと「作品の一部になろう」じゃないですけど、物語と一緒に歌っていけるような声色の使い方だったり、その歌唱の方法だったりを思いっきりやらせてもらえる楽曲になりました。
―では、最後に、そんな「残酷な夜に輝け」を聴いてほしい皆さん。そして、今後のLiSAさんの活動に注目してほしい皆さんへメッセージをお願いします。
LiSA:『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、本当に素晴らしい人たちの手によって素晴らしい作品に仕上がっていますので、私たちも妥協なくこの作品に寄り添いながら楽曲を制作しました。なので、作品と共に楽しんでもらえるといいなと思っています!
<リリース情報>

LiSA
シングル『残酷な夜に輝け』
発売日:2025年7月23日(水)
https://lisa.lnk.to/0723PKG
期間生産限定盤(CD+BD)/ VVCL 2754-2755:価格 1760円(税込)
通常盤(CD)/ VVCL 2753 価格 1430円(税込)
=CD収録内容= ※期間生産限定盤/通常盤のCD収録内容は同内容となります。
1. 残酷な夜に輝け
2. 残酷な夜に輝け -Instrumental-
=BD収録内容=
「残酷な夜に輝け」MUSiC CLiP
LiSA Official HP https://www.lxixsxa.com/